神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…15分後。

「お口の中がヒリヒリするよぅ…」

「…自業自得だろ」

何でもかんでも、すぐ口の中に放り込むのはやめなさい。

赤ん坊じゃないんだから。

「そのまま齧るよりも、醤油に溶かした方が美味いぞ」

その間にクロティルダは、いつの間にか一人で先に食べ始めていた。

わさびを小皿に入れて、醤油の中に溶かしてわさび醤油にしていた。

お前…それ、厳密にはマナー違反だぞ。

…まぁ良いけど。

「ほら、ベリクリーデ。お前も寿司を食べろ」

「どれが美味しいの?」

…そうだな…。

「色々あるからな…。まぐろ、サーモン…。…お、ウニなんかも良いんじゃないか?」

ベリクリーデは回転寿司初心者なんだから、まずは定番どころから始め、

「わーい。おいしー」

「…と思ったら、もう食ってる…」

折角、おすすめの寿司ネタを説明しようとしてたのに。

ベリクリーデは、自分の目の前を通り過ぎようとしていた寿司を、一枚取って。

それをもぐもぐと食べていた。

子供舌だから、サーモンとか、玉子かなと思ったが。

ベリクリーデが食べていたのは、軍艦巻き。

軍艦巻きも美味しいよな。回転寿司の醍醐味。

ウニとかイクラとか、美味しいネタがたくさん…。

…と思ったけど、ベリクリーデが食べていたのは、ツナコーンだった。

ツナとコーンをマヨネーズで和えたもの。知ってる?

…うん。まぁ良いんじゃねぇの?

好きなネタを食べれば良いよ。俺が指図することじゃない。

という訳で、俺も寿司、食べよう。

「…えぇと…」

俺は、レーンを回る寿司を眺めた。

あれはウナギ…いや、穴子か。で、あっちは甘エビ…。で、その向こうは真鯛。

どれも美味しそうだから、迷ってしまうな。

とりあえず、手近にあったハマチを取る。

箸で寿司ネタを捲って、そこにわさびを塗る。

で、醤油の小皿にちょっとだけ浸して…。…いただきます。

「…うん。美味い」

これだよ、これ。この美味さ。

スーパーに売ってるパック寿司とは、比べ物にならない。

…え?回らない寿司の方が美味いだろ、って。

分かってない。分かってないなぁ。

そりゃ回らない寿司も美味いけど。回転寿司には、回転寿司にしかない楽しみと美味しさがある。

例えばこうして、たくさんの種類の回る寿司を眺めながら。

次はどの寿司にしようかな、って考えるのも、回転寿司の醍醐味。だろ?

これを楽しみに来たと言っても過言ではない。