神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

さて、店員さんに案内されて、テーブル席に着席。

そこでようやく、俺は、馬鹿共に回転寿司のルールを説明した。

「ほら、これを見ろ」

「ほぇ?」

「回転寿司って言うのはな、俺達が回るんじゃない。寿司が回ってるんだ」

俺は、美味しそうなお寿司の皿がくるくると回るレーンを指差した。

分かるか?これを見たら一目瞭然だろ。

「…??何でお寿司が回るの?」

「これを眺めて、欲しいな、と思った皿を取って、好きに食べて良いんだよ」

「…??」

ベリクリーデは、いまいちピンと来てないようだったが。

「皿によって色が違うのは、これは寿司ネタの違いか。それとも値段の違いか?」

と、クロティルダが聞いてきた。

ほう。さすが天使といったところか。意外と鋭いじゃないか。

「どっちもだよ。皿の色によって値段が違うんだ」

かっぱ巻きや納豆巻きなどの、一番お安いネタは緑色のお皿。

マグロやウニなどのお高い寿司ネタは、紫色のお皿。みたいな。

「今日は緑皿しか食べん!」という厳しい縛りプレイを自らに課している者もいるだろうが。

今日は俺が奢るから、特に気にしなくて良いぞ。

だからって、露骨に紫皿ばっかり食べられたら、それはそれでムカつくけどな。

まぁ、値段とかは特に気にせず、それぞれ好きなものを食べてくれ。

「成程…。斬新なアイデアだ」 

クロティルダは納得しているようだったが。

回転寿司を初めて見たベリクリーデは、きょとーんとして。

「…何でお寿司が回るの?お寿司しか回らないの?」

「は?」

「回転おにぎりとか、回転天ぷらがあっても良いのに。何でお寿司しか回らないの?」

「…俺にそう言われても…」

まぁ、あの、誰しも一度は考えたことがあるだろう。

回転寿司があるなら、回転パスタとか、回転パン屋があっても良いはずだ、と。

で、自分の好きな食べ物の回転〇〇屋を想像する。
 
例えば、回転チョコ菓子屋があれば、シルナ・エインリーは大喜びだろう。

…でもな、駄目なんだ。

何故か、寿司以外は回転させても、客が来ないんだよ。

回ることが許されているのは寿司だけである。

という訳なので、納得して寿司を食べてくれ。

「良いから。まずはそこの小皿をと、」

「わー。見て見てクロティルダ。ここ、お湯が出るよ」

「ふむ。恐らく手指の消毒用だろう。寿司という食べ物は素手で食べるそうだから、感染対策に手指を熱湯消毒する必要があるんだろう」

「そうなんだ。熱いけど、消毒の為には仕方ないよね」

「ちょ、馬鹿やめろ!」

適当な知識を教え込むんじゃねーよ、馬鹿天使!

急いでベリクリーデを止めようとしたけど、遅かった。

あろうことかベリクリーデは、お茶を淹れる為の熱湯に、両手を差し出した。