神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

で、その昼食に何を食べるか、だが。

「ベリクリーデ…。お前、何食べたい?」

と、俺はベリクリーデに尋ねた。

「ほぇ?私が決めて良いの?」

「良いよ」

俺は別に何でも良いしな。

それに、クロティルダも。

「お前が決めると良い」

ベリクリーデに、決定権を譲っていた。

レディファーストだな。

しかし俺は、この判断はミスだったと気づくことになる。

「そっかー。そうだな〜…」

うーん、と考えるベリクリーデ。

「じゃあ、またアイスクリーム、」

「却下」

「ふぇっ!」

ふぇっ、じゃないんだよ。

「ジュリス、アイス嫌いなの?」

「ちげーよ。アイスクリームはデザートだろ。昼飯に食べるものじゃない」

誰がお昼ご飯にアイスクリームを食べるんだよ。

それはデザート。お昼ご飯の後に食べような。

「そっか〜…。…うーん、それじゃあ…」

「…」

「あ、そうだ。ミミズ!」

「はっ!?」

俺は、思わず耳を疑った。

い…今、なんて言った?

「ミミズ食べよう、ジュリス」

「じっ…冗談だよな?」

ミミズって…あのミミズだよな?

雨の日に、地面の石ころを避けたら出てくる…。

ピンク色の、うにょうにょした昆虫…。

「久し振りにミミズ、食べてみたくなっちゃったー」

「成程。世の中には、ミミズペーストが国民食となっている国もあることだし、珍しくはないな」

何言ってんの?ベリクリーデと天使。

馬鹿なの?アホなの?何なの?

そうだ。思い出した。

ベリクリーデは、「お弁当に何を入れて欲しい?」と聞いたら。

元気な声で、「カエル!」と答えるような奴だったんだ。

そしてこのクロティルダは、ツッコミを入れるどころか。

「じゃあカエルを捕ってくる」と言って、冥界にカエルを捕りに行くような奴だったんだ。

聞いた俺が馬鹿だった。

「よーし。じゃあジュリス、一緒にミミズ食べに、」

「あーはいはいそうだな。ミミズ美味いなーミミズ。…よし、そこの店行くぞ」

「ふぇっ」

俺は、ガシッ、とベリクリーデの腕を掴み。

強引に、一番近くにあった飲食店に連行した。

「ほぇ〜。ミミズ〜」

「ミミズのことは忘れろ」

冗談じゃねぇよ。

お前らは味覚がアレだから、カエルでもミミズでも無抵抗なんだろうが。

俺は、ゲテモノ食いの趣味はないから。悪しからず。