神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

という、俺の持論を語ると。

クロティルダは、俺のことをじっと見つめていた。

…何だよ。

不敬な人間め、とでも思ってるのか?

「…言いたいことがあるなら言えよ」

「…いや。ただ…ベリクリーデ・イシュテアが何故、お前の傍に居たがるのか、その理由が分かったような気がする」

…何?

「お前には、俺にないものがある。…正直、羨ましいほどに眩しいものが」

「…」

「安心しろ。俺は決して、お前達を傷つけたりはしない。お前達の脅威にはならないと誓う」

…だってさ。

「悪いけど、信用出来ねぇな。お前ら天使のせいで、俺達もこれまで随分な被害を被ってるから」

俺は忘れてないぞ。

危うくベリクリーデの存在を一生忘れる羽目になるところだった、あの『ムシ』の脅威を。

それなのに、クロティルダは。

「それで良い。俺のことを信じる必要はない」

「当然だろ」

「ただ、ベリクリーデ・イシュテアのことだけは、信じてやってくれ。彼女に悪意はない」

「それも当然だろ」

偉そうに言われなくても、ベリクリーデのことは信用してるっての。

いつから一緒にいると思ってんだ。

「お前に言われるまでもねーよ」

「…そうか」

ふっ、と笑うクロティルダ。

何笑ってんだよ。単純な人間め、とでも思ってるのか。

悪かったな単純で。ベリクリーデほどじゃねぇよ。

「だが、意志を貫くには思うだけでは足りない。力が伴わなければ」

「そりゃそうだけど」

「俺はお前に力を授けることは出来ないが、しかし…」

…と、クロティルダが言いかけたその時。

すぴすぴ眠っていたはずのベリクリーデが、ぱちっ、と目を覚ました。

…お。

「ふわぁ〜…」

「起きたか…ベリクリーデ」

「むにゃむにゃ…。…ほぇ?」

だらしのない寝起き顔で、ベリクリーデはまず、俺をじーっと見て。

それから、その隣のクロティルダを見つめ。

「…??ジュリスが分身した?」

「…ちげーよ、ベリクリーデ。よく見ろ。別人だ」

俺、こんなイケメンじゃねーから。

それだけは認めざるを得ない。

「…あ、ほんとだ。クロティルダだ」

「起こしてしまったか、我が姫。悪かったな」

「ううん、良いよ」

ふわぁぁ、と大あくびをするベリクリーデ。

はしたない子だよ、まったく…。

「あ、そうだ。あのね、クロティルダ。クロティルダの捕ってきてくれたカエル、凄く美味しかったんだよ」

…そういえば。

カエル、捕ってきてもらったんだっけ。

「そうか。それは良かった」

「ジュリスがね、キャラ弁作ってくれたんだよ。凄くキラキラでね、美味しくてね」

…それはさながら、幼稚園の遠足の報告をする子供のよう。

さっきまでの俺達の会話、聞かれてないよな…?

…ま、クロティルダに報告するベリクリーデが嬉しそうだから、それで良いけどさ。