神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…二時間後。

「…はぁ…。やっと出来た…」

渾身のキャラ弁、完成。

我ながら、結構頑張ったぞ。

例のカエル唐揚げをメインのおかずにして、それからシュニィのアドバイスを参考に。

カラフルなふりかけとご飯を混ぜて作った、星やクローバーの形のおにぎりに。

ハムを丁寧に折り畳んでバラの形にしたり、海苔とチーズでニコニコ顔にデコレーションした卵焼き。

そして、天然着色料で色を付けた、カラフルなうずらの茹で卵。

きゅうりと茹でた人参を飾り切りして盛り付け、更に星の形をしたフライドポテトを作った。

デザートに、うさぎりんごと、うさぎオレンジ、それからシュニィも作ったという、ハート型のいちごも散らした。

他にも色々な種類のおかずを作ったが、…まぁ、ざっとこんな感じだ。

調子に乗ってあれもこれも作ってたら、最初用意してたお弁当箱に入り切らなくて。

追加で、おせちの時に使ったお重を引っ張り出してきて、それに詰めた。

頑張った、俺は頑張ったぞベリクリーデ。

これで満足してくれると良いのだが。

やれやれ、と人心地ついていると。

そこに、聞き覚えのある間の抜けた声が聞こえてきた。

「じゅーりーすー。じゅーりーすー」

…この声は。

「じゅーりーすー。何処かな…。ジュリス〜」

廊下の方から聞こえる。

どうやら、俺を探し歩いているらしい。

ここ、調理室だよ。調理室。

「…いないな…。どっか隠れちゃったのかな…」

隠れてないって。ここにいるから。調理室まで歩いてこい。

「…あ、そうだ。お風呂にでも入ってるのかな?」

は?

「よし、大浴場の男湯に行ってみよーっと」

「ちょっと待てぇぇぇい!」

「ほぇ?」

ベリクリーデが許されない過ちを犯す前に、俺は廊下に飛び出して、ベリクリーデを捕まえた。

危ないところだった。

「あ、ジュリスいた。みーつけた」

「みーつけた、じゃねぇよ!ったく、危ないところだった…!」

「何が?」

自覚していないところが恐ろしい。

良いか、こいつは男女の区別とか全然気にしないからな。

男湯だろうと女湯だろうと、平気な顔をして入る。そういう奴だ。

こういう時、クロティルダは何してるんだよ。こういう時に現れて、ベリクリーデを止めてくれよ。

肝心な時に役に立たねーな、あの天使。

まぁ、一番悪いのは、無自覚のベリクリーデだけどな、

案の定ベリクリーデは、けろっとした様子で首を傾げた。

「ジュリス、何処に居たの?」

「何処に、って…。…そこだよ、調理室」

「おぉー。調理室であったか」

何でちょっと武士風なんだよ。

「何か作ってたの?」

「お前のキャラ弁だよ…。今、丁度出来上がったところだ」

「え、本当?」

ベリクリーデの周囲に、ぱあっと明るい花畑が出来たようだった。