神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「ふー。カエルの味見も終わったことだし、俺らは帰るとするかー」

「そうですね」

「見た目はグロかったけど、美味いもの食べさせてもらってよかっ…」

などと話しながら、キュレムとルイーシュは調理室から去ろうとしたが…。

不意に、キュレムが足を止めた。

「?キュレムさん、どうしました?」

「…何か忘れてるような…」

え?

「…あ、そうだ!荷物!」

荷物?

そう言われて、俺も思い出した。

そういえば、ここに来た時、キュレムとルイーシュは何か持ってたよな?

二人がわざわざ調理室まで来たのは、俺に何か渡す為…。

その荷物は、さっきキュレムが叫んでた調理室の入り口の床に、無造作に放り投げられていた。

あんな雑な扱いを…。って、虹色に光るカエルを見たら、誰でも腰を抜かすのは当然だが…。

「ジュリス、これ。ジュリス宛の荷物」

「あぁ、ありがとう…。…って、これ何?」

「魔導学会の学会誌だって」

学会誌だと?

何で、そんなものが俺のもとに…?

首を傾げていると、キュレムが説明した。

「ジュリスが前、提出した論文が掲載されてるんだろ」

「え?俺、そんなの出したっけ?」

確か…論文を、書いたところまでは覚えている。

でも…俺は結局、あれを提出しなかったのではなかったか…?

「あー…。あれ、結局自分が郵送したから…」

「あの時のジュリスさん、これでもかってくらい荒れに荒れてましたもんね」

「は?」

「こちらの話です。お気になさらず」

いや、そんな言い方されたら余計に気になるだろ。

「とにかく、そういう訳で届けたから。後でチェックしといてな。それじゃー」

「ご機嫌よう」

あっ…。

キュレムもルイーシュも、そそくさと調理室を出ていってしまった。

…強引に手渡された封筒を、俺はじっと見下ろし。

「…ま、いっか」

と、自分を納得させたのだった。

それはそれとして、ベリクリーデのキャラ弁作りに勤しむとしよう。