神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

驚いたことに、虹色の皮膚を剥いでみたら。

その中身は、鮮やかなピンク色。

意外と、普通のお肉と変わらなかった。

…まぁ、カエルなんだけども。

そのお肉に、まずは念入りに下ごしらえをする。

そっとカエル肉の匂いを嗅いでみたところ、生臭い匂いはまったくしなかったのだが。

それでも、これはカエル。

冥界の何処に生息していたのか知らないが、やはり、どうしても臭みが気になる。

そこで俺は、念の為に、カエル肉をお酢で洗い、塩と酒を振って臭み消しをした。

そして、下味をつけて、油で揚げた。

要するに、唐揚げだな。カエルの唐揚げ。

…色だけは、普通に美味しそうな唐揚げなんだけどな。

匂いも、香ばしくて食欲をそそられるら凄く良い匂いなんだ。

カエルの形さえしていなければ…普通の鶏の唐揚げに見えるんだが。

これには、横で手伝いながら調理過程を見ていたキュレムも、目を丸くしていた。

「すげーな。カエルだと思わなきゃ、めっちゃ美味そう」

「はふはふ。めっちゃ美味しいですよこれ。ジューシーで」

「…食ってる…」

作った俺よりも先に、ルイーシュはもぐもぐとカエル唐揚げを食べていた。

…勇気あるな、お前。

「ほんとに美味いの?」

「食べないと勿体無いくらい、美味しいですよ」

「身体痺れたりしてない?」

「今のところ、大丈夫そうですね」

「そうか…。じゃあ、俺も…いただきます」

キュレムも、揚げ立てのカエルの唐揚げをひとくち。

サクッ、と良い音がする。

「はふっ、はふっ…。あつっ…うまっ…!」

「美味いのか?」

「めっちゃ美味い」

ぐっ、と親指を立てるキュレム。

そうなのか…。

「にんにく利いててめっちゃうめぇわ」

「あぁ…」

臭み消しの一環のつもりで、下味ににんにくのすりおろしを使用した。

それが良いアクセントになっているらしい。

それから…。

「こっちは、カエル唐揚げのハニーマスタード風なんだが…」

「どれどれ…。…ふむ、めちゃくちゃ美味しいですね」

「やべぇ美味い。普通の鶏からより美味いわ、これ」

キュレムとルイーシュ、共に絶賛。

…ちょっと自信出てきた。

「大丈夫だ、ジュリス。お前さんはもう…何処に嫁に出しても恥ずかしくない」

「そうか…。それは褒め言葉だと思っておくよ」

じゃ、これを弁当に入れるとするか。

あとは、ベリクリーデが喜んで食べてくれると良いのだが…。