神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「ぶはっ、げほっ、ごほっ…」

「キュレムさん、どうどう。どうどう」

うどんが気管に入ったらしく、盛大に噎せまくるキュレム。

の、背中を、ルイーシュがさすってあげていた。

…キュレムとルイーシュにまで被害を及ぼすんじゃねーよ。

…なんつった?こいつ、今。

「…もう一回聞く。ベリクリーデ、弁当に入れて欲しいおかずは、」

「カエル」

「…そうか…」

聞き違いじゃなかったか。…残念なことに。

…カエル…?

しばらく考えて、出てきた俺の質問は。

「カエルって…何?」

だった。

我ながら、何を聞いてるんだ俺は。

「え?ジュリス、カエル知らないの?ゲコゲコーって」

「…田んぼとかにいるカエル?」

「うん。か〜え〜る〜の〜う〜た〜が〜♪のカエル」

聴こえてくるよー、ってな。

…なんて冗談言ってる場合か。

「…食うの?お前、カエル…」

「え?炙って食べたら美味しいよ?」

「…そうか…」

どうなってんの?お前の食生活。

いや、分かるよ。ルーデュニア聖王国では、カエルは観賞する為の動物。断じて、食べるものではない。

しかし、海外の一部の地域では、当たり前のようにカエルの肉を食べている場所もある。

俺自身、昔、別の国を放浪していた時。

食用カエルの煮込み、という料理を食べたことがある。

皮を剥ぎ取って、もも肉を調理して食べるそうだ。

…うん、まぁ。

そういう文化があるってことは分かるよ?

ルーデュニア聖王国でも、そりゃ近所のスーパーには売ってないと思うが。

海外からお取り寄せすれば、比較的手軽に手に入るだろう。

海外から取り寄せてる時点で、あんまり手軽ではないけども。

コオロギだって食べる時代なんだから、それに比べりゃカエルくらい…。

…って、そんな訳ないだろ。

「何でカエルなんだよ…!?」

「えっ?だって、昔収容所で暮らしてた時は…」

収容所って何だよ?何処だ。

「たまに捕まえるカエルは、ご馳走だったよ?今でも思い出して、じゅる、ってなるの」

「…」

「カエル食べたいなぁ」

「…あ、そう」

…まぁ、そういう趣味嗜好の人もいるってことで。

…海外ではポピュラーだから。な?そういうことで納得しておこう。



一方、さっきまで噎せていたキュレムは。

「…畜生…。鼻からうどんが…」

「牛乳じゃなくて良かったじゃないですか」

と、ルイーシュに慰められていた。

ごめんな。