神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…さて、改めて。

「それで?頼み事って何だよ」

「んーとね、あのね…」

…もじもじ。

…何で照れ臭そうなんだよ。

人様のベッドに勝手に横入りするのは照れないのに、何故頼み事で照れる?

普通、逆だろ。

「…あのね、キャラ弁、っていうの食べてみたいの」

「…え」

…これは、非常に意外な頼みだった。

…キャラ弁…?

俺は驚いた。

キャラ弁を頼まれたことが…と言うより、ベリクリーデがキャラ弁を知っていたことに驚いた。

「…きゃらべん、って何だ?」

一方、天使はキャラ弁をご存知なかった。

ばーかばーか。

「あのね、キャラ弁っていうのはね」

おいベリクリーデ。教えてやらんで良い。

…と、思ったが。

「すっごく可愛いお弁当のことなんだよ」

ベリクリーデも、よく分かっていないようだ。

…分かってねーじゃん、お前も。

「成程」

そして天使。お前は何でそんな説明で納得するんだよ。

「ベリクリーデ…。キャラ弁なんて、何処で聞いてきたんだ?」

聖魔騎士団で、弁当持ってきてる隊士はほぼいないだろ。

食堂あるし。

「あのね、シュニィが」

「シュニィ?」

「シュニィが、お弁当持ってきてたの」

…そうなのか?

「シュニィって…。普段から弁当持参してたっけ?」

以前、食堂でアトラスと仲良く、日替わり定食食べてる姿を見かけたことがあるような…。

「ううん。昨日、シュニィがお外でお弁当食べてるところ見つけたんだ」

「弁当?外で?」

「うん。今日お弁当なの?って聞いたら、アイナちゃんにお弁当作ってあげたんだって」

あっ…。

何だか、話が見えてきた。

「キャラ弁、っていうお弁当。だから、アイナちゃんのお弁当の残りを持ってきたんだって。凄く美味しそうだったんだよ」

「…へぇ〜…」

アイナと言えば、シュニィとアトラスの愛娘だ。

どうやら、シュニィはアイナにせがまれて、キャラ弁を作ってあげたらしい。

アイナみたいな小さい女の子は、キャラ弁に憧れるもんだよな。

「そんなの作りません」と却下するのではなく、ちゃんとリクエストに応えてあげるのはシュニィの優しいところだよな。

「それでね、良いな〜って思って」

「…」

「私もキャラ弁、っていうの食べてみたい」

ベリクリーデの目が、キラキラしていらっしゃる。

…お前さんは、子供のアイナと同じ思考かよ。