神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「な、なんっ…!何で、お前、ここにいるんだ…!?」

「…ほぇ?ジュリスが起きた」

起きるわ。

お前、何でここに?

「いつの間に…!?」

「さっき。ジュリスを起こしに来たの」

「何で…!?」

「あのね、頼み事をしようとおもっ、」

「つーか、そこから退けっ!」

「あーれー」

俺は、ベリクリーデをころころ転がして、ベッドから退かした。

距離を取れ。距離を。

ベッドの中で密着状態なんて、冗談じゃないぞ。

「ったく…油断も隙もない…!」

「…クロティルダだったら、一緒に寝てくれるのにな…」

「…何だと…!?」

今、聞き捨てならないことを聞いたような気がするぞ。

…あの変態天使。

「あ、そうだ。ジュリス、それよりも」

ひょこっ、と顔を上げるベリクリーデ。

「それよりもって何だよ?」

今の、この状況以上に重要なことが、他にあるとでも?

ねーよ。

「あのね、ジュリス。お願い事があるの」

「は…?」

「聞いてくれる?」

お願い事…って、何だよ。

今それどころじゃないだろ。

「あのな、俺は今…寝起きなんだぞ。お前の頼み事なんか聞いてる場合じゃないんだ」

「…!…駄目なの?」

「駄目とかそういう次元の問題じゃない。まず俺は着替えて顔を洗って…」

「そっか…。…じゃあ仕方ないね」

あれ?

ベリクリーデが、珍しく自分から引き下がっ、

「それなら、クロティルダに頼んでみよっと。クロッティ〜」

「ちょ、待てやめろ!!早まるな!」

しまった。寝起きのせいで忘れていた。

最近のベリクリーデは、俺に断られるとクソ天使を召喚し、

「呼んだか。我が姫」

「…っ、来やがった…!」

ほんのちょっと呼ばれただけで、すぐに来やがる。

こいつ、ストーカーなんじゃねぇの?

姿が見えないだけで、普段からベリクリーデの背後とかに隠れてるんだろ。

キモッ。

「あのね、クロティルダ。お願いがあるの。聞いてくれる?」

「可能な限り、努力しよう」

何だ。その政治家みたいな回答は。

何が何でも、こんなストーカー天使にでかい顔をさせてたまるものか。

「ちょっと待て、ベリクリーデ」

「ほぇ?」

俺は、ベリクリーデの肩を掴んで制止した。

「頼み事があるなら、俺に言え」

「え?でも、ジュリス、さっき駄目って」

言ったけど。

「あれは…その…そう、寝起きだったから。寝惚けてつい言ってしまっただけだ」

「そうなの?」

「あぁ。だから気にするな」

別に寝惚けていた訳じゃないが。

今は、そういうことにしておこう。