神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ボロボロと泣きながら、鼻水啜って、「ぞづぎょうじでもっ…げんぎでねっ…!シルナのごどばずれないでねっ…!」とか言いながら、卒業証書を渡されると。

卒業した喜びよりも、学院長の気迫にドン引きしちゃって、何の感慨も湧かない。

これ、イーニシュフェルト魔導学院の卒業生あるあるである。

「今年も学院長は…いつも通りの学院長だったようだな」

「はい…。それどころか、今年は…」

…今年は?

「卒業式の最後に、学院長の式辞があるじゃないですか」

あぁ。校長先生からのお言葉、って奴ね。

「その時に、シルナ学院長が…『やだ!式辞なんて読まない!』って駄々をこね始めて…」

「…」

何やってんの。学院長。

式辞を読んだら卒業式が終わっちゃって、いよいよ生徒が学院からいなくなってしまう。

「式辞を読まなければ卒業式が終わらない=生徒が卒業しない」と解釈し。

スーパーの駄々っ子のノリで、学院長の式辞を拒否したらしい。

…うーん。やりそう。

「…で、それどうなったんですか?」

「グラスフィア先生と天音先生が、何とか宥めようとしたんですが…」

「その前に、イレース先生がブチギレて、『貸しなさい。私が読みます』って原稿を取り上げて…」

「抵抗する学院長を、イレース先生が拳骨で黙らせて…」

「…イレース先生が代わりに、学院長の式辞を読んでくれました」

…だってさ。

母校がいつも通り平和で、俺は嬉しいよ。

「でも、今頃入学式で、また新しい生徒が入ってきただろうから…機嫌は治ってると思いますよ」

「だろうな…」

羽久も苦労してんだろうなぁ。春になる度に。

…今度、労いの為に母校訪問でもするかな。