神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「どうよ?なんか聞きたいこと。誰でも良いぞ」

「は、はぁ…」

「えぇと…」

戸惑う新人達。

「…何?俺、聞きにくい?変なこと聞いたら怒られるかも、とか思ってる?」

「い、いえ…。そんなことは…」

「正直に言ってくれて良いんだぞ。『シュニィ隊長に比べて、まったく威厳がありませんねw』とか」

「い、いえ!とんでもありません」

良いんだぞ。自覚してるから。

「もしかして、緊張してる?」

「そ、それは…」

「そうだよな…。いくら馴れ馴れしくしたって、年上だもんな…」

話しにくいと思っても、無理もないよ。

別に、全然気軽に話してくれて良いんだけどな…。

そういう時は、こっちから積極的に…。

「君達、3月まで学生だったんだよな?…何処の学校?」

お前らどこ中よ。言ってみ?

もしかしたら…。

「私はラミッドフルス魔導学院です」

唯一の女の子、チノミちゃんが答えた。

ラミッドフルス…イレースちゃんの古巣だな。

「自分は、地方の魔導学校で…○○魔導学校の出身です」

と、答えたのは…ヴィリー君だったな。

そして。

「僕達四人は、みんなイーニシュフェルト魔導学院の卒業生です」

残る四人…ソウナとナルモとイルクとメタクは、思った通り…イーニシュフェルト魔導学院の卒業生だということだった。

ほほう。

「そうか。じゃあ、君らは自分らの後輩だな」

「あっ、お二人もイーニシュフェルト魔導学院のご出身なんですね」

「まーね」

どうだ?

同窓生だと分かったら、途端に親近感が湧いてくるだろう?

…それにしても、イーニシュフェルト魔導学院の卒業生…か。

…ってことは。

「…大変だったろ?…卒業式」

「えっ?」

「いや…先月のさ、卒業式。学院長が…」

「あっ…」

俺が何を言わんとしているか、理解したようだな。

そう。イーニシュフェルト魔導学院の卒業式。

それは、ある種の…学院の風物詩である。

「…今年はどうだった?」

「…えっと…やっぱり…いつも通りでした」

「…そうか…」

案の定、だったか。

「…?いつも通りって?」

「イーニシュフェルト魔導学院の卒業式って、そんなに変わってるんですか?」

事情を知らないチノミちゃんとヴィリーが、首を傾げた。

変わってるって言うか…。

卒業式の内容自体は…何処の学校でもやってるような、普通の卒業式と変わらないんだけど。

…ちょっと、学院長がな。

「泣くんですよ。学院長が」

と、ルイーシュが言った。

…それな。

「え?泣く?」

「そりゃもう、大の男が大泣きですよ。恥も外聞もなく。顔をくっちゃくちゃにして」

「…な、なんで…?」

「生徒と別れるのが嫌なんだそうですよ」

「卒業しちゃやだ卒業しちゃやだ卒業しちゃやだ〜っ!!」…って。

スーパーによくいる、お菓子買って幼児みたいなノリで。

自分の生徒が卒業していなくなってしまう、と駄々っ子のように泣き喚くのである。

学院のメンツにとっては「いつものこと」なので、最早驚くに値しないが。

「…えぇ…」

「…」

チノミちゃんとヴィリー君、ドン引き。

学院長が泣くってどういうこと…?って思ってるんだろうな。

分かる。

俺も在学中、最初にアレを見た時は、同じ気持ちだったよ。