神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

さて、改めて。

「えーと…ごほん。まずは自己紹介しておこうかな…」

まずは俺から。

「一応、聖魔騎士団魔導部隊大隊長の、キュレム・エフェメラルだ」

「同じく、一応大隊長の、ルイーシュ・レイヴン・アルテミシアです。以後よろしく」

「…一応…」

…何か言ったか?新人君。

「…で、君達は?」

「あっ、す、すみません。申し遅れました。自分はソウナです」

「私はヴィリーです」

「僕はナルモと言います」

「自分はイルクです。宜しくお願いします」

「僕はメタクと申します」

「私はチノミと言います。ご指導のほど、宜しくお願い致します」

以上。

新人6名(内、男性5人、女性1人)がそれぞれ名乗った。

ふーん。

「みんな同い年?」

「あ、はい…。この春に高校を卒業したばかりで…」

「へぇー…」

…若いなぁ。

俺にもこんな頃があったのかねぇ?…なんか、もう遥か遠く昔の出来事のように思えるよ。

こうして、学校を卒業したばかりの若者達を見ていると…。

…何だろう。何とも言えない郷愁に駆られると言うか…。

…子供の巣立ちを見る、お母さんになった気分。

「そっか…。君達も大きくなったんだな…」

しみじみ。

「は、はぁ…?」

「あんなに小さかった君達が…」

「キュレムさん。大きくなったも何も、我々全員初対面です」

ルイーシュに冷静にツッコミを入れられて、我に返った。

そうだった。

危うく、勝手に存在しない記憶を捏造するところだったよ。

「ごめん。今の嘘。聞かなかったことにしてくれ」

「は、はい…」

「それで…キュレム大隊長。今日はどんな研修を…?」

と、ソウナ君が尋ねてきた。

あー…。それなんだけどな…。

ちょっとした問題が…いや、実はかなり大きな問題があって。

「…分からん」

と、答えるしかなかった。

「えっ?」

「ごめん。本当に分かんないんだよ…。シュニィに監督の代理を頼まれたのは良いが、今日何をする予定だったのか、研修の内容を聞きそびれた…」

「…」

ぽかーんとする、新人一同。

…ごめんな?ほんと。

俺もうっかりしてた…。多分、シュニィもうっかりしてたんだと思う。

早くアイナのもとに帰ってやりたい一心で、研修内容を俺達に伝達することを、失念してたんじゃないかな。

まー、聞かなかった俺達も悪いが。

「えぇと…。それじゃあ、自分達は今日、何をすれば…?」

当然の疑問である。

「さぁ…。何すれば良いんだろうな。君達…何したい?」

逆に聞かせてもらうよ。

ほら、上司が思う、「新人研修で教えるべきこと」と。

それを受ける当の新人達が思う、「新人研修で教えて欲しいこと」って、結構相違があるじゃん?

新人の為の新人研修なんだから、彼らが本当に知りたいことを教えるべきだと思うんだよ。

「この際だから、何でも聞いてくれて良いぞ。シュニィに聞きづらいことでも、何でも」

「え…」

「なんか聞きたいこと、ない?どんなことでも良いぞ」

例えば…ほら。

「魔導隊舎の食堂で、一番美味しいメニューは何ですか?とかでも良いぞ」

「…」

「ちなみに、俺のオススメは…カレーうどんかな」

君達も入団したからには、是非、一度は食べてみてくれよな。