神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

しかし、ベリクリーデはそんなこと、まったく気にしておらず。

「ジュリス、遊ぼ」

目をキラキラさせて、朝から俺の部屋に侵入してきた。

畜生…。俺の休日に平穏の二文字はないのか…。

まぁ、平日も平穏とは掛け離れた日常を送っているが…。

平日もベリクリーデの面倒を見て、休日もベリクリーデの面倒を見て。

俺の休みって、一体何処にあるんだ?

別に良いけどさ。生来、じっとしてるより、忙しく動いてる方が性に合ってるから。

だからって、365日、まったく休日がないのは、さすがにキツいんだけど?

労基に訴えるぞ。俺の休みがないって。

…どれもこれも、原因は俺の目の前にいるこの女。

ベリクリーデのせいなんだけどな。

「ねぇ、ジュリス」

「…何だよ」

「あのね、行きたいところがあるの。一緒に行ってくれる?」

…などと供述しており。

ったく…行きたいところ、だと?

今日は休みなんだから、少しくらいゆっくりさせてくれよ。

…まぁ、でも、いっか。

ゆっくりすることだけが、休日だけじゃないもんな。

普段は時間がなくて行けないところに、満を持して足を運ぶ。

それも休日の過ごし方の一つだ。

それに、ベリクリーデが「行きたい」と言ってるんだ。

ここで下手に「駄目だ」とか言うと、こいつ、勝手に行くからな。

しかも最近のベリクリーデには、ちょっと困ったら、すぐに「ヤツ」を呼び出す悪癖がある。

あいつに出しゃばらせるのは癪だからな。

俺が付き合ってそれで済むなら、付き合ってやるよ。

天使は引っ込んでろ。

「ジュリス、連れてってくれる?」

「ん?あぁ…。まぁ、良いよ」

「やったー」

両手を挙げて喜ぶベリクリーデ。

…やれやれ。

「…で、何処に行きたいんだ?」

今日は一日中暇だし、多少遠出になっても良いぞ。

ベリクリーデが行きたいところなら、何処でも連れってや、

「あのね…。こーしえん、ってところに行きたい!」

「それは無理だ」

ごめん。却下。

「…!?ジュリス、連れてってくれるって言ったのに」

「無理なもんは無理だ」

連れてってやるって、そんな簡単に連れていけるところじゃねーから。

どういうところか分かってるのか?お前。

「…一緒に行ってくれるって言ったのに…」

「だからっ…!無理なんだって」

俺が悪いみたいに言うなよ。

「なんで駄目なの…?」

なんでって…それは…。

「だって…ベリクリーデ、お前は女だろ?女は無理なんだよ」

観客席から応援するだけなら、性別は関係ないが。

グラウンドに立とうと思ったら、女じゃ無理。

女であるということの他にも、無理な事情はいくらでもあるけどな。

年齢とか。

それなのに、ベリクリーデは全然分かっていなくて。

「…!男女差別だ…」

とか言い出した。

「いや、男女差別じゃなくてな…」

お前、遊園地か何かと勘違いしてないか?

「男の子なら良いの?」

「え?まぁ…。…そうだな」

男の子って言うか…男子高校生って言うか…。

全国の限られた男子高校生だけが行ける、特別な場所なんだよ。