神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「…まぁ、ったく。なんだ」

ジュリスは、くるりとこちらを向いた。

「内容は知らないが、お前らも任務お疲れさん。良かったら一緒に焼き肉、食べてってくれ」

え、マジで?

「…良いのか?俺達まで」

「もらえるなら有り難くもらいますけど」

ルイーシュ。お前がめついな。

「良いよ。ご覧の通り、三人じゃとても消費しきれない肉の量だからな」

「…わーお…」

ジュリスの指差す先には、漫画でしか見たことのないような、巨大な肉の塊が。

すげー…。何キロあるんだ?これ。

「冥界産の肉だから…気味が悪いかもしれないが」

「いや、それは…」

今更っつーか…。

…まぁ、大丈夫なんじゃね?

すると、天使のクロティルダが。

「心配ない。メイカイイボイボイノシシに毒はないし、寄生虫の類もいない」

と、フォローしてくれた。

いや、あんたさんに保証されても。

「美味い肉食って腹壊すなら、本望ってもんだろ。いただくよ」

「そうか。まぁ、味は保証するよ」

じゃ、俺も冥界イノシシのご相伴に預かります。

試しに、ジュリスが切り分けてくれた、こんがりと良い色に焼けたイノシシロース肉をぱくり。

…おぉ。

「…めっちゃうま…!」

滲み出る、旨味たっぷりの肉の脂。

かと言ってしつこい脂ではなく、見た目以上にさっぱりとしている。

肉質は柔らかく、筋張った箇所は何処にもない。

ジュリスが丹念に臭み抜きをしてくれたお陰で、獣臭い匂いは一切ない。

噛めば噛むほどに、旨味が溢れ出す。

…これは美味いぞ。

「これ、豚肉より全然美味しいですね」

ルイーシュも絶賛。

だな。

イノシシなんて初めて食べたけど、こんなに美味いんだ。

冥界産だからだろうか?

「そうか。そりゃ良かったよ」

労働後の焼き肉は、身体に染み渡るなぁ…。

「まだまだあるから、どんどん食べてくれ」

あざす。

すると、クロティルダが皿に入れた何かをこちらに差し出した。

なんか豆腐みたいなものが入ってるな、と思ったら。

「…天使君。何これ?」

「メイカイイボイボイノシシの脳みそだ」

ぐほぇっ。

「なかなかの珍味だぞ。食べてみると良い」

「嫌だ、無理。それはさすがに無理!」

「めっちゃグロテスクですね」

いくら「食用」と言われても、さすがに無理。

だって…ちゃんと、シワがあるんだぜ?

見ただけで、「それ」と分かる形状。

たった今、頭蓋骨の中から取り出してきたみたいな。

ザ・脳みそ!って感じ。

ぐぼぇぇぇ。

それなのに。

「わー。とろとろで美味しい」

「ふむ。見た目はアレですが、味は結構イケますね」

ベリクリーデちゃんもルイーシュも、平気な顔して食ってた。

…マジかよ。