神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

二時間後。




「…どうだ?ルイーシュ」

「…足音は完全に止まりましたね」

「…だよな」

念の為、何度も確認してみる。

…だが、ネズミが走り回る、あの嫌な音はもう聞こえない。

ネズミはすべて、俺の手元の段ボール箱の中だ。

段ボール箱の中で、ネズミは失神して伸びている。

見ろよ。

こいつらが、昨夜俺を嘲笑っていたネズミ共だ。

ふっ。哀れなもんだな。

「…よっしゃぁぁ!俺の勝ち!」

俺はその場で、渾身のガッツポーズを披露。

やったぜ。見たか俺の実力。

これが人間様の本気だ。

「キュレムさん、子供達が寝てるんだから大声出しちゃ駄目ですよ」

「おぉっと…そうだった。ごめん、ごめん」

つい、興奮してしまった。

寝ててくれよ、ちびっこ達。

ネズミは、俺達がこうして捕まえたからな。

あとは、段ボール箱の中で伸びているネズミ達の、息の根を止めるだけ…。

…なのだが。

「…ネズミなんて間近で初めて見たけど、意外と可愛いな」

「ネズミに愛着を持ってどうするんですか…」

「いや、そうなんだけど…」

でもさ…。こうして、大人しく寝ているネズミを見ていると。

ハムスターみたいでさ…。…なんつーか、殺すのに抵抗がある。

こいつら、追い出すだけじゃ駄目なのかな?

追い出すだけじゃ、また戻ってきちゃうのかな…。

「…やれやれ、キュレムさんもお人好し、ならぬ、おネズミ好しですね」

「何だよ、おネズミ好しって」

「貸してください」

「あ」

ルイーシュは、ネズミが入った段ボール箱を受け取ると。

「nrattpors」

あっという間に、一瞬の間に、ネズミin段ボール箱が消えてしまった。

ルイーシュお得意の、空間魔法を発動したのだ。

「ルイーシュ…。ネズミ、何処にやったんだ?」

「別の空間に。人間がいない場所です。上手く野生に戻れれば良いですが」

「…そうか…」

残酷かもしれないが、少なくとも今この場で、俺達の手で駆除するよりは。

…俺の罪悪感が薄れる。

新しい環境で、頑張って生きてくれよ。