神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

さて、それじゃいよいよ、だな。

討伐クエスト、開始

「…よーし、まずは屋根裏の様子を見てみるか…」

ごくり、と生唾を飲み込む。

自慢じゃないけど俺、屋根裏に登ったことってないんだよな。

ネズミってどんな感じで住んでんの?

梯子を登って、屋根裏に顔を突っ込むなり。

無数のネズミの目が、こちらを睨んでいる…なんてことないよな?

ぶるっ。

「…よし、ルイーシュ。あっち向いてホイしようぜ」

「はい?」

「どっちが先に登るか」

「あぁ、良いですよ」

よし。

「…じゃーんけーん…」

ぽん。

両者共グー。

「あいこで…」

しょ。

俺がグー、ルイーシュがパー。

畜生、負けた。

「行きますよ。あっちむいて…ホイ」

右を差すルイーシュ。

そして、釣られるように右を向いてしまう俺。

「ぐはぁっ!」

瞬殺かよ。

「はい、俺の勝ち」

片手を上げて、ガッツポーズを決めるルイーシュ。

こいつ、一発で勝ちやがった。

つーか、俺が弱過ぎる…?

「すみませんね、キュレムさん。俺、あっちむいてホイ全一なんで」

「嘘つけこの野郎…畜生…」

毒づいてみても、負けたものは仕方ない。

…分かったよ。敗者は潔く…屋根裏に登るよ。

「…よし。行くぞ…」

俺は意を決して、梯子に手をかける。

今にもぐらっと倒れそうな、お粗末な梯子を一段、二段と登り。

天井を押し上げるようにして、俺は屋根裏の中に頭を突っ込んだ。

「うぉえっ…ぷ」

「…どうですか?」

下から、ルイーシュが声をかけてきた。

「います?ネズミ」

「…いや…これ、あの…」

「キュレムさん、どう…。あ、そうか分かりました」

あ?

「前の住人のエロ本でも見つけましたか?」

「あのなぁ、ルイーシュ…」

「はっ、さてはジャンルがアブノーマルなんですね?ロリコン監禁モノとか」

「ちげーよ馬鹿」

童貞の妄想はやめろ。

そうじゃなくて。

「…暗くて埃っぽくて、なんも見えねぇ」

「あー…。じゃ、これどうぞ。…tighl」

ルイーシュは、手のひら大の光の玉を、光魔法で作り出した。

ふよふよとした光の玉が、懐中電灯のように、屋根裏の中を照らした。

おぉ。便利。

こういうの、ルイーシュは器用なんだよな。

「ふぅ。俺は今日、これで既に役目を果たしましたね」

「おい。まだ何も始まってないぞ」

光の玉を作っただけで、やり遂げた感を出すな。

まだ一匹も倒してない。

…とはいえ、ルイーシュは頑張ってくれたから、次は俺だな。