神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

とりあえず、まずは「現場」を見てみないことには分からない。

「えーっと…。とりあえず屋根裏を見てみたいんだけど…」

「あぁ、はいはい。こちらです」

腰の曲がったおばーちゃんは、屋根裏に続いている広い和室に案内してくれた。

天井裏に続く扉は既に開いていて、そこに梯子(はしご)がかけてあった。

あろうことかおばーちゃんは、その梯子に手をかけた。

「この上なんです。私もね、何回か、登ってみようと、」

「は!?ちょ、ばーちゃん駄目だって!落ちるぞ!」

「いえ、あの、だい、だ、だいじょ、大丈夫ですから」

「全然大丈夫そうに見えないんだけど!?良いから、降りて降りて!」

足、足ふらふらしてんだよ。危なっかしいことこの上ない。

無理すんなって。

「すみません…。どうも私の手には負えそうになくて…」

「当たり前だよ…」

「何とか登ってみても、暗くてよく見えなくて…」

「それも当たり前だよ…」

無理すんな、ばーちゃん。

悪いけど、あんたさんには無理だ。

梯子から転落して腰を折る前に、頼むから大人しくしててくれ。

「分かった。後のことは俺達で何とかするから、おばーちゃんは子供らの面倒でも見ててくれ」

「ですが…私が何もしない訳には…」

何が出来るんだよ。そんなよぼよぼ状態で。

「下手なことして怪我されたら、こっちも困るんだよ。頼むから大人しくしててくれ」

「…はい…」

ばーちゃん、しょんぼり。

ごめんな。

自分じゃ役に立てないと悟ってくれたのか、おばーちゃんは孫の手を取って、和室を出ていった。

…やれやれ。

「大見得切っちゃいましたね、キュレムさん」

と、ルイーシュ。

「あぁ?」

「あとは俺達で何とかするから、なんて。言い切っちゃって良いんですか?」

「…あー…」

…そういや言っちゃったな。さっき…。

これじゃもう、「やっぱり無理でした」は通用しないぞ。

是が非でも、何とかしないと。

出来るかどうかも分からないことを、無責任に「やってみます」と宣言するなんて。

我ながら、無謀なことを言ったもんだよ。

でも、ああでも言わなきゃ、引き下がってくれないだろうからなぁ。

「…しょうがないだろ。言っちゃったんだから」

言ったもんは仕方ないんだよ。

「宣言通り、何とかしようぜ。付き合ってくれよ、ルイーシュ」

「やれやれ…。キュレムさんの大言壮語に付き合うなんて御免なんですけどねぇ」

「そう言わず」

「まぁ良いですよ。今夜、夕飯奢ってくださいね」

…ちゃっかりしてやがんなぁ。

分かったよ。それで協力してもらえるなら。