神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

イノシシ夫婦を見なかったことにして、シュニィの部屋にやって来た俺達。

「よー、シュニィ。来たよ」

「あ、キュレムさん、ルイーシュさん。おはようございます」

「おはよ」

「おはようございます」

シュニィは自分の机に向かって、忙しそうに書類仕事に打ち込んでいるところだった。

君はいつだって真面目だなぁ。

ルイーシュにも見習って欲しいよ。

と思ったけど、俺も割と不真面目な人間だから、人のこと言えねぇや。

「すみません、お忙しいところ来ていただいて…」

「いやぁ…シュニィほど忙しくねぇから、別に好きな時に呼んでもらって良いぞ」

俺がシュニィに文句つけたら、バチが当たるよ。

「…で、話って何?」

なんか話があって呼んだんだろ?

遠慮なく言ってくれ。

「あ、はい…。…それなんですけど…実は折り入ってお願いしたいことがあって…」

あっ。

なんか…これは嫌な前置きのような気がするぞ。

「キュレムさん。本能的に危機を感じたので帰っても良いですかね」

ルイーシュも察知したか。だよな。

しかし。

「落ち着けルイーシュ。気持ちは分かる。でも、話は最後まで聞こうぜ」

「だって、聞いちゃったら断れないじゃないですか」

確かに。

それはそうなんだけど。全面的に同意するんだけど。

でも、忘れるなかれ。

シュニィは一応、俺達の上司なんだぜ。

優し過ぎて、全然上司っぽく見えないけどな。

「…で、シュニィ。頼みって何?」

「え、えぇと…。…以前、スズメバチ駆除の任務を頼んだのを覚えていますか?」

「おぉ。そりゃ当たり前だよ」

忘れたくても、忘れられないよ。

俺は忘れたいんだけどな。

俺、あの一件だけで、常人の一生分くらいハチに刺されたと思う。

一般人なら死んでるんだわ。

いてーし、毒で気持ち悪いし、ハチの巣はキモいし。

何ならあの日の夜、俺に殺されたハチ達に逆襲される夢を見たからな。

悪夢だよ。

で、何で今、そのことを蒸し返すんだ?

…も、もしかして。

「まさか…またスズメバチ駆除の任務が…!?」

冗談じゃねぇぞ。

あのトラウマをもう一回だなんて。どんな罰ゲームだよ。

俺達は魔導師であって、スズメバチ駆除職人じゃねぇんだわ。

「あ、いえ…。それは違うんです」

「あ、なんだ…。良かった…」

脅かすなよ。

ホッ。

スズメバチじゃないなら何でもい、

「あの…今度は、ネズミです」

「…………は?」

…ね、

…ネズミ?