神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

昨夜、なかなか寝てくれないベリクリーデに付き合ったものだから。

で、今日も丸一日、ベリクリーデの世話をし続けた。

俺の体力は、そろそろ限界だ。

ワンオペ育児には無理がある。

自分一人で抱え込まず、頼りたい時は、頼れる人に頼るのも大切だぞ。

…と、いう訳で。

「丁度良いところに来た。クロティルダ、パス」

「…ぱす?」

パスって言ったら、パスだよ。

「ベリクリーデ。ほら、あのお兄さんに遊んでもらえ」

俺はチビベリクリーデに、そう言い聞かせた。

…え?押し付けた?

うるせぇ。

「…くろって?」

ベリクリーデは首を傾げて、クロティルダに問いかけた。

おぉ。クロティルダの名前は、教えなくても覚えてるんだな。

「そうそう。くろってだ」

「くろって。くろって〜」

チビベリクリーデは、ちてっ、ちてっ、とクロティルダの方に歩いていった。

クロティルダは、そんなベリクリーデを抱き上げ、膝の上にちょこんと乗せた。

ベリクリーデは大喜びで、クロティルダの胸に顔をぎゅーっと埋めるようにして、甘えていた。

…何だろう。

俺が押し付けたんだけどさ。…なんか腹立つな。

俺以外の人間…シュニィの腕に抱かれた時は、あんなに泣いてたのに…。…クロティルダは良いんだな。

…けっ。

まぁでも、ベリクリーデが懐いてるなら好都合。

「夜勤」は、お前に任せることにするよ。

「…交代だ、クロティルダ」

「交代?」

「俺は寝る。朝になったら、子守り交代だ」

「そうか。分かった」

「良いか。間違っても、ベリクリーデを泣かせるんじゃないぞ」

そいつを泣かせてみろ。

お前の天使の羽根、毟ってやるからな。

…え?天使相手に、なんて酷いことを、って?

うるせぇ。

「努力しよう」

「頼んだぞ」

最後に、クロティルダの腕に抱かれて、ご満悦のベリクリーデの顔をちらりと一瞥してから。

俺は、自分自身が休息を取る為に、寝室に向かった。