神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

裏庭から室内に戻ってきた俺と、チビベリクリーデ。

俺は夕食を作って、ベリクリーデにそれを食べさせた。

切り身の焼き魚をほぐして混ぜた、混ぜご飯のおにぎりを作ってみたんだが。

こちらも、ベリクリーデはもしゃもしゃとよく食べていた。

よく寝てよく遊び、よく食べる。

グズったり、イタズラもしないし、素直に言うことを聞く、非常に模範的な良い子なのだが。

それでも、有り余る幼児の体力を消費するのは、非常に骨が折れる。

「ころころ〜。ころころ〜」

「…」

昼間、あれほど遊ばせたというのに。

そろそろ寝る時間になっても、まだまだ元気を持て余している。

こいつの体力は底無しか。

…ふと思ったんだが、今の状態で、ベリーシュはどうしてるんだろうな?

ベリーシュとは、ベリクリーデの身体の中にいる、もう一人の人格である。

彼女も幼児化してるんだろうか…?

「…ベリーシュ、聞こえるか?出てこられるか」

「?」

試しに、ベリーシュの名前を呼んでみた。

違う名前で呼ばれて、ベリクリーデはきょとんとしていた。

…ベリーシュが出てくる様子はない、か?

「ベリーシュ。ベリクリーデと代われるか?」

「…??」

「…駄目か…」

やはり、ベリーシュが出てくる様子はない。

この状態だと、どうやらベリーシュは表に出てこられないようだ。

まぁ、多分聞こえてはいるんだろうが。

思えば、ベリクリーデがこの歳の頃、ベリーシュはまだ生まれていなかった。

割と最近生まれた人格だもんな。ベリーシュは。

彼女が表に出てこられないのは、それが理由なのかもしれない。

身体を共有しているベリクリーデが突然こんなことになって、きっとベリーシュも困惑していることだろう。

…早く戻ってくれよ。頼むから。

「じゅいしゅ。じゅーいーしゅ」

「はいはい…」

「あそぼー」

と言って、また俺の膝の上によじよじと上ってきた。

あそぼー、だって。

大人のベリクリーデと、言ってること同じじゃん。

つーか、昼間あれほど遊んだのに、まだこんなに元気なのかよ。

「あそぼー。じゅいしゅ、あそぼ」

「マジかよ…。さすがに俺はもう疲れ、」



「…退屈してるようだな、我が姫」


おっ…この声は。

俺は、ベリクリーデと同時に振り向いた。

するとそこには、予想通り。

「クロティルダ…!」

「手が空いたのでな。様子を見に来た」

…今日ばかりは、良いところに来た。