神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

畜生。お前らもかよ。

この二日間で、一体何度、同じ説明を繰り返したことか。

腹立たしいのは、誰もがチビベリクリーデを見て、「ジュリスとベリクリーデの子供だ」と誤解すること。

違うっつーの。

「…あのな、なんか期待してるところ悪いが、この子は…」

俺は、何度も繰り返した説明を、また話して聞かせた。

シルナ・エインリーも羽久・グラスフィアも、びっくりした顔で俺の説明を聞いていた。

「…ってな訳で、こうなってるんだ。分かったか?」

分かったら、もう二度とこいつを俺の子だ、とは言うなよ。

「へぇ〜。えぇー…。そうだったんだ…。…ちょっと残念…」

おい、何で残念がってるんだよ。

「そっかー。一週間経ったら戻っちゃうのかー」

「…何がそんなに残念なんだよ…」

「いや、もしジュリス君とベリクリーデちゃんの子供だったら、きっと素晴らしい魔導の才があるだろうし、将来はイーニシュフェルト魔導学院にスカウトしようかなって」

ふーん。それは残念だったな。

来週には、多分元の姿に戻ってるぞ。

「そうか…。おかしいと思ったよ。ベリクリーデが妊娠してる様子なんて、まったくなかったから」

と、羽久・グラスフィア。

そんなことになったら、まず俺が一番に気づくっつーの。

「それじゃ、二人の子は将来に期待だね」

「そうだな。その時は改めて、お祝いさせてもらうよ」

…何言ってんの?お前ら。

まるで、将来に「その予定」があるみたいな言い方やめろ。

「そろそろ帰るぞ、シルナ。マジでイレースに閉め出される」

「あっ…。そうだね。…それじゃ、ベリクリーデちゃん。またね。バイバイ」

シルナ・エインリーが手を振ると、チビベリクリーデも手を振り返した。

「さて、じゃあケーキ屋さんに寄って帰ろう!」

「まだ諦めてなかったのかよ…」

などと言いながら、イーニシュフェルト魔導学院の二人は帰っていった。

…やれやれ。

「…それじゃ、俺達もそろそろ戻るか…」

これ以上ここにいたら、また誰かに鉢合わせしかねない。

また誤解されるのは御免だぞ。