神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

無闇と月読が立ち去った、その15分後。

相変わらず、裏庭でベリクリーデを遊ばせていると。

そこに、また新たな人物がやって来た。

「さーて、用事も済ませたし、帰ろっか」

「そうだな。暗くなる前にかえ、」

「よし。ケーキ屋さんに寄ってから帰ろう!」

「…お前な。万が一下校時刻を過ぎて、イレースに校門を閉められたらどうするんだ…?一晩閉め出しだぞ…」

…この声は。

「…?」

「あ、ベリクリーデ」

チビベリクリーデは好奇心に駆られたのか、声のした方に、ちてっ、ちてっ、と歩いていった。

すると、そこには予想通り。

「あれっ…」

「えっ…?」

びっくりした顔で、突然現れた幼女(ベリクリーデ)を見つめる二人組。

…イーニシュフェルト魔導学院の学院長、シルナ・エインリーと…教員である羽久・グラスフィアだった。

やっぱりお前達だったか。

「えっ?えっ…。…えぇーっ!?」

シルナ・エインリーは、チビベリクリーデと俺を交互に何度も見つめて、素っ頓狂な声をあげ。

「ジュリス…。お、お前…」

羽久・グラスフィアの方は、絶句していた。

…そんなびっくりしなくても良いだろ。

まぁ気持ちは分かるけども。

そして、しばらく驚いていた二人が、それぞれ最初に口にした言葉は。

「ジュリス君とベリクリーデちゃんの娘…!?」

「お前ら、いつの間に子供なんて作ってたんだっ…?」

二人は、同時にそれぞれそう叫んだ。

そして、二人して仲良く誤解している。

「可愛い〜!可愛いね!君、ベリクリーデちゃんにそっくりだね〜」

破顔一笑したシルナ・エインリーは、しゃがみ込んで、チビベリクリーデの頭をよしよし、と撫でた。

「ぺいくいって」

「うんうん。お母さん…ベリクリーデちゃんによく似てるね〜」

似てるんじゃなくて、本人だからな。

「あ、チョコ食べる?はい、チョコあげようねー」

「おい、こら。勝手に子供にチョコ食べさせるなって」

シルナ・エインリーは、懐から一口チョコを取り出して、ベリクリーデに与えようとしていた。

そのチョコ、持ち歩いてるのか?

…気持ちは嬉しいんだが。

「…悪いが、チョコはやめてくれるか。まだ食べさせたことないから…」

「あっ、そっか。まだチョコを食べられないなんて…。よしよし」

シルナ・エインリーは憐れむようにして、ベリクリーデの頭を撫でていたが。

当のベリクリーデはよく分かっていないようで、きょとんとしていた。

…元のベリクリーデに戻ったら、その時改めて、チョコでも何でも食べさせてやってくれ。

「可愛いね〜。よしよし。私、シルナって言うんだよ。分かる?」

「しるにゃ」

「そうそう、偉いね〜!で、こっちのお兄さんが羽久だよ。は、つ、ね」

「はちゅね」

「おぉ〜!賢いねー」

「おいシルナ。お前が子供をあやしてると、誘拐犯にしか見えないからやめろ」

「酷い!羽久が私に失礼なこと言ってる!」

「それにしても、いつの間にか子供がいるなんて…。何でもっと早く教えてくれなかったんだ?」

と、羽久・グラスフィアが俺に尋ねた。