神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…30分後。

しばらく、裏庭でベリクリーデを遊ばせていたのだが。

そろそろ休憩を、とベリクリーデをベンチに座らせ、水分補給をさせた。

ストローマグに入れた麦茶を、ベリクリーデはこきゅっ、こきゅっ、と飲んでいた。

よしよし。

「飲んだか?ベリクリーデ」

「のんだー」

よろしい。

「さて…。それじゃ、今度は何をして遊ぼうか?」

「ん〜…」

しばし悩んだチビベリクリーデは。

「おいかけっこ」

…だってさ。

これだけ遊んでも、まだまだ走り回る元気があるとは。

本当に、子供の体力って底なしだなぁ。

「よし…じゃ、ベリクリーデが逃げるか?」

「んーん」

「じゃ、俺が逃げるのか」

「んーん」

違うの?

「…じゃあ誰が逃げるんだ?」

「いっしょににげる」

「…二人で逃げてどうするんだよ…」

誰が追いかけるんだ?なぁ。

俺達は、見えない何かから逃げるのか。

なんか怖いからやめてくれ。

「じゃあ俺が追いかけるから、ベリクリーデは頑張って逃げてくれ」

「…ぺいくいって?」

「そう。ぺいくいってが逃げて、俺が追いかける。分かったか?」

「ん!」

よしよし。賢い子だ。

と、思ったが。

「10数えたら追いかけるからな。いーち、にー」

「…?」

数を数えても、ベリクリーデは全然逃げる様子がなかった。

…さては、数字を分かっていないな。

賢いと思ったけど、そうでもなかった説。

あぁ、もうわざわざカウントしなくて良いだろ。

「よーし、追いかけるぞー」

「わー」

大袈裟に追いかけると、チビベリクリーデは歓声をあげて逃げていった。

本気で走れば、すぐ追いついてしまうからな。

大人げないことはせず、ベリクリーデが満足するまで追いかけっこに付き合ってやろう。

…すると。

ちてっ、ちてっ、と覚束ない足取りで逃げていた、チビベリクリーデが。

「ぷえっ」

「…ん?」

逃げるのに夢中になって、不意に目の前に現れた人物に気づかず、ベシッ、と衝突してしまった。

幸い、お互いそれほどダメージはなかったようだが。

「…??」

「…誰だ?」

お互いに、きょとんとした顔で見つめ合っていた。

…丁度、任務から帰ってきたばかりの、無闇だった。