神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

すると、ルイーシュが。

「キュレムさん、ちょっと落ち着きましょう」

おぉ。ルイーシュ、お前良いこと言うじゃないか。

助かるよ。

「何でだよ?お前は正気でいられんのか?」

「だって、あの子、ジュリスさんの子じゃないって言ってたじゃないですか。きっと複雑な事情があるんですよ」

その通り。その通りなんだよルイーシュ。

ベリクリーデがキノコを拾って食べてしまったせいで、

「複雑な事情?って…」

「ほら…あの子はきっと、ベリクリーデさんの連れ子なんですよ」

!?

「連れ子…?ってことは、ジュリスはまさか…」

「えぇ。きっと、あの天使のクロティルダさんとベリクリーデさんの子を、自分の子として引き取って…」

「あー、成程。なっとく〜」

…納得してんじゃねぇ。

「そうか…。ジュリス、お前良いパパだな。血が繋がってないのに、ベリクリーデちゃんの子を自分の子として…」

「…お前ら。いい加減にしろよ」

好き勝手言うのも、そこら辺にしてもらおうか。

ち、が、う、って何度も言ってるだろ。

「…で、マジでその子誰?」

「…ベリクリーデ本人なんだよ」

俺はキュレムとルイーシュにも、ベリクリーデが「こう」なってしまった経緯を説明した。

二人共、びっくりした顔で聞いていた。

「…で、元気が有り余ってるから、外で遊ばせようと思って…。今、連れて行こうとしているところなんだ。分かったか?」

「へぇ〜…。ほーん…。ふ〜ん…」

「まぁ、そんなことだろうと思ってました」

思ってたなら、最初から悪ふざけをするな。

「そうかー。君、ベリクリーデちゃんなのかー」

キュレムは膝を曲げ、ベリクリーデの顔を覗き込みながら言った。

ベリクリーデは泣き出すことなく、キュレムをじっと見つめ返した。

「ぺいくいって」

「おぉ、ベリクリーデちゃんだな。俺はキュレムだ。きゅ、れ、む」

「きゅえむ」

「おー。賢い賢い」

舌足らずではあるが、結構、相手の言うことを理解してるんだよな。

キュレムのみならず。

「こっちはルイーシュだぞ。る、いー、しゅ」

「ういーしゅ」

「そうそう。やべー、めっちゃ賢いじゃん。俺が2歳の頃より絶対頭良いぞ」

「まぁ、キュレムさんの子供時代は、あまり賢そうには思えませんもんね」

「ふははは、こやつめ。殴るぞ」

ベリクリーデの前で乱闘はやめてくれよ。

やるなら、よそでやってくれ。

「にしても、可愛いもんだなー。子供なんて絶滅してしまえと常日頃思ってるけど、ちっちゃいベリクリーデちゃんだと思うと可愛いわ」

キュレムは、チビベリクリーデの頭をよしよし、と撫でた。

おい。問題発言。

「分かります。俺も普段は子供なんか大っ嫌いなんですけど、小さい頃のベリクリーデさんは可愛いですね」

こっちも問題発言。

…お前らという奴は。

「いやぁ良いもん見せてもらったわ。子育て頑張れよー、ジュリス」

「いずれ、本当のベリクリーデさんとの子供も見せてくださいね」

言いたいだけ言って、キュレムとルイーシュは手を振って去っていった。

…子育てなんてしてねーよ。面倒見てるだけだ。

…あと、本当の子供を見せる予定はない。ふざけんな。