神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「じゅいしゅ。じゅいしゅー」

「はいはい…。裏庭に行こうな」

「うらにわー」

「そう、裏庭」

外で遊ばせれば、少しは落ち着いてくれるだろう。

チビベリクリーデを抱っこして、魔導隊舎の裏庭に向かっていた、

…その時。

「お、ジュリスじゃん」

「あ、キュレム…。それにルイーシュも」

通りすがりの、キュレムとルイーシュに遭遇。

「良いところに。今日、昼飯もう食った?」

「え?いや…まだだけど」

それどころじゃなかったし。

俺の姿が見えなくなると、すぐ泣き出すから。

「今日の日替わりランチは美味かったぞ。デミグラスハンバーグ。いやぁモリモリご飯が進んだわ」

「そうか…それは良かったな」

「おぉ。ジュリスも後で食べろよ」

「時間があれば…」

「そんじゃーなー」

キュレムは俺に手を振って、その場を去ろうとした。

一方のルイーシュは、俺を…と言うより、俺の腕の中で、ぽやんと抱かれているベリクリーデを凝視していた。

ルイーシュがついてこないので、立ち去ろうとしていたキュレムは足を止め、振り向いた。

「…ん?ルイーシュ、どうしたんだよ?」

「…いや、キュレムさんの方こそ、気づいてないんですか?」

「は?何に…。…え?」

キュレムは、俺の腕に抱かれて、ちゅくちゅくと指を吸っているチビベリクリーデを発見した。

一度目を逸らして、また戻して、もう一回逸らして、戻して、また逸らしてまた戻した。

忙しない奴だな。

三度見されたんだけど?

目を真ん丸に見開いて、ベリクリーデを見つめ…。

そして。

「おまっ…!い…いつの間に繁殖してんだ!?」

と、デカい声で叫んだ。

「はっ…!?」

は、繁殖って。

その言い方やめろ。

「ベリクリーデちゃんとの子供がいるなんて、聞いてねぇぞ畜生!」

何でブチギレ?

「いや…それは誤解だって!この子は俺の子じゃ…」

「嘘つけ!お嬢ちゃん、君のパパは誰?」

キュレムが、ベリクリーデに尋ねた。

すると、質問の意味をよく理解していないらしいチビベリクリーデは。

話しかけられたことが嬉しいのか、笑顔で俺を指差した。

「じゅいしゅ!」

ちょ、ベリクリーデ何言ってんだ。

「ほらぁぁぁ!やっぱお前じゃねぇかよ!!」

「ちがっ…!本当に違うんだって!」

「言い訳してんじゃねぇぞコラ!」

何でキレてんだよ。俺が何をしたって言うんだ。

大体、俺に子供がいてもいなくても、キュレムにブチギレられる筋合いねぇっての。

「畜生!リア充がとうとう繁殖までしやがった…!非リアの俺達は、春が来る気配どころか、生まれてこの方、永遠に氷河期なのに!」

「…何言ってんだ?キュレム…」

「許せるかこんなの?こんな理不尽を許して良いのか…!?」

「だから、俺の子じゃないんだって」

何回言ったら分かるんだよ。