神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

俺はチビベリクリーデを抱えて、シュニィの元へ急いだ。

この時間なら、執務室にいるはず。

「シュニィ、ちょっと良いか?」

部屋をこんこん、とノックすると。

「はい、どうぞ」

部屋の中から、シュニィの涼やかな声が聞こえてきた。

お、良かった。いたな。

じゃ、入らせてもらうぞ。

「邪魔するぞ、シュニィ…」

「あ、ジュリスさん。こんに…ちは…」

「…何だよ」

俺の姿を見るなり。

と言うか…俺の…腕の中で眠っているチビベリクリーデの姿を見るなり。

シュニィは石のように固まって、しかも動揺のあまり、手に持っていたペンを床に落っことした。

…そんな驚くことないだろ。

「えっ…あっ…」

「…あのな、これには事情が…」

「お…お、おめでとうございます…?」

「…祝うな」

散々狼狽えまくって、出てきた言葉はそれかよ。

俺の子じゃねーから。

「違うんだよ。これは色々と複雑な事情が…いや、そんなに複雑な事情ではないけど…」

ただベリクリーデが拾い食いしてしまった、とそれだけの事情なんだが。

そのせいで大変なんだよ。

しかしシュニィは、何を勘違いしたのか。

「だ…だ、大丈夫です。我が部隊では、男性の育児休暇取得の増進を進めていますから。ジュリスさんがモデルケースとして、育児休暇を、」

「落ち着けシュニィ。頼むから。違うんだって本当に」

「えっ?」

俺は、シュニィの肩をガシッ、と掴んだ。

「まずは俺の話を聞いてくれ。頼む」

「あ、は、はい…。それで、あの…」

「…何だよ?」

「…その子、お名前は何にしたんですか?」

…笑顔で何を聞いてるんだ。

だからっ…俺の子じゃないんだってば。

なんかもう、泣きそうになってきたんだけど。俺のせいじゃないのに。