神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「大丈夫なのか?」

「まぁ…俺は一応、子供の面倒見てたこともあるからな…」

昔の話だけどな。

これでも、長生きしてるもんで。

「ベリクリーデ1人くらいなら、面倒見るよ」

「そうか…。では、健闘を祈る」

「おぉ」

…というやり取りをして、クロティルダはまた、霧のようにフッ、と消えてしまった。

帰ったな。

…さて、安請け合いしたのは良いが。

「…ベリクリーデ…」

「…すぴー…」

大人達の困惑と葛藤も知らず、呑気に眠っているチビベリクリーデ。

枕に涎まで垂らして。

「…ったく、この間抜け面は、大人の時と一緒だな…」

こいつは昔から、こんな間抜けな顔して眠っていたのかと思うと。

変わってねぇんだなって。

…って、言ってる場合じゃない。

ベリクリーデが元に戻るまで、面倒を見ると決めたなら。

「まずは…色々と、道具を揃えなきゃいけないよな…」

幼い子供の面倒を見る為に、必要なものはいくらでもある。

ベビーベット、毛布、タオル、ベビー服にベビーカー…。それに幼児食も。

その他諸々。

最近は、そういうベビーグッズの専門店もたくさんあるが。

だけどベリクリーデの場合、長くても一週間経ったら、大人の姿に戻るんだよな…?

だったら、わざわざお金を出してベビー用品を買い揃えるのは、勿体ないような…。

かと言って、譲ってもらえるアテも…。

「…あ、そうだ」

良いことを思いついた。

我が聖魔騎士団魔導部隊には、育児の「先輩」がいるじゃないか。

恥を忍んで、彼女に相談してみることにしよう。

そうと決まれば早速…と、思ったが。

「あ…でも、ベリクリーデを置いてはいけないよな…」

今は大人しく眠っているが、いつ目を覚ますか分からないし。

この年頃の子供を、例え僅かな時間でも目を離したら、どんな事故に繋がるか分からない。

まだ危機意識ってものが育ってないからな。…まぁ、こいつの場合、大人になっても育ってないが。

…となれば、連れて行くしかないな。

「よし…ベリクリーデ、ちょっと…行くぞ」

俺は、寝ているチビベリクリーデを毛布にくるみ、そっと抱き上げた。

よし、行くか。