神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

その後。

俺の顔見知りの王宮使用人が、丁度その場を通りかかかったことで。

聖魔騎士かと疑われた俺の無罪が、無事に証明された。

その顔見知り、以前王宮絡みの仕事で知り合ったおばちゃん、じゃなくて中年女性だったのだが。

「あらっ?ジュリスさんじゃないの?」

「そうです俺です。今疑われてるんで助けてください」

ってな経緯で。

救世主だよ。救世主。

それは助かったんだけど、問題はその後だった。

フユリ女王宛の封書を、無事に渡したのだが。

その後、そのおばちゃん使用人に捕まってしまって。

俺はベリクリーデを待たせてるから、出来れば用事を済ませてさっさと帰りたかったのに。

なっかなか、すんなり帰してくれなくて。

「雨の中大変だったでしょ?」

「まぁゆっくりお茶でもしていって」

「飴ちゃん食べる?」

等々、あれこれ絡まれた。

飴ちゃんって。某地のおばさんじゃないんだから。

「いやほんといいんで。帰ります」を連呼して、結局15分くらい押し問答を繰り返し。

ようやく解放されて、俺は王宮の外にすっ飛んで出ていった。




「ベリクリーデ!」

慌てて飛び出して、そしてびっくりした。

さっきまで、あんなに土砂降りだったのに。

すっかり雨がやんで、晴れ間が差している。

…マジで?

天気予報は大外れ。まさかのベリクリーデ予報が的中。

「…って、ベリクリーデっ?」

何処にいるんだ、あいつは?

まさか、一人でとっとこ帰っちまったんじゃねぇよな?

大慌てで、きょろきょろと周囲を見渡すも、ベリクリーデの姿はない。

さぁぁ…っと、顔が青くなる。

ヤバい。

俺が目を離してしまったばかりに、ベリクリーデが…。

あいつは、暴漢が相手でも、「お菓子あげるからおいで」とか言われたら、疑いもせずホイホイついていってしまうような奴だ。

だから、絶対に目を離しちゃいけなかったのに…!

「ベリクリーデ!ベリクリーデ、何処に…!」

慌てて走り出し、ベリクリーデを探しに行こうとした、その矢先。

「…ん?」

…いた。

ベリクリーデが。

王宮の外の花壇の前に、じっと座っていた。

よ…。…良かったぁ。

どっか行ってしまったのかと、心配したぞ。

「ジュリス、まだかなー…。一人ぼっちだと寂しいな」

ぽつり、と呟くベリクリーデ。

先程も言ったが、ベリクリーデは寂しがり屋である。

けろっとしているように見えて、実は誰よりも繊細だったりするのである。

大丈夫だベリクリーデ、もう俺帰ってき、

「…そうだ!クロッティを呼ぼう」

は?

「ちょ、まっ…!」

「クロティルダ。クロッティ〜!」

「…俺を呼んだか、我が姫」

…来ちゃった。