神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

王宮に到着後。




「本日は、どういったご要件で?」

俺達の対応をしてくれた王宮の使用人が、丁寧にそう尋ねた。

「えぇと…。俺達は聖魔騎士団の者なんだが…」

「わー。キラキラの壺が置いてあるよ。キラキラ〜」

「ちょ、ベリクリーデ。勝手に触るな」

王宮にやって来たベリクリーデは、好奇心で目を輝かせ。

調度品である壺に近寄って、つんつんと指先で突いていた。

やめなさい。誤って割ったらどうするんだ。

「知ってるよ。この壺、割ったらライフポイントが増えるんでしょ」

ドヤァ、とドヤ顔のベリクリーデ。

増える訳ねーだろ。何処のRPGゲームだ?

「…えーと…?」

戸惑う王宮使用人。当たり前である。

「良いから、頼むから大人しくしててくれ、ベリクリーデ。な?」

「うん、分かったー」

よし。

「…で、話を戻すけど、シュニィから、じゃなくて、聖魔騎士団副団長から預かりものが、」

「あ、絵が飾ってある〜」

「ちょ、ベリクリーデ。こら!」

大人しくしてろ、と言った矢先に。

今度は、壁に飾ってある大きなアンティークの絵画に、ててて、と近寄るベリクリーデ。

「知ってるよ。この絵、どかしたら、後ろに秘密通路があるんでしょ?」

何故ドヤ顔?

ねーよ。ゲームじゃないんだって、何度言ったら分かるんだ。

「あっちのゴミ箱の中に、密室の鍵が…」

「こらっ!ベリクリーデ、勝手にちょろちょろするんじゃありません!」

大人しくしてなさい。頼むから。お願いだから。

「…」

王宮使用人は、落ち着きのないベリクリーデ(+引率の俺)を見て。

「この人達、本当に聖魔騎士か…?」と怪しむような顔をしている。

「…失礼ですが、あなた方は本当に聖魔騎士ですか…?」

ほらぁ。案の定。

「本当に聖魔騎士なんだよ。間違いなく。信じてくれ」

「…はあ…」

怪しんでる。めっちゃ怪しんでる。

でも本当なんだ。俺達は本当に聖魔騎士団から来た、

「あ。そろそろ雨がやみそうな気がする。ジュリス、もうすぐ雨、やむと思うよ。雨よ上がれ〜」

窓に貼り付いて、謎の晴れ乞いを始めるベリクリーデ。

…自由人かよ、お前は。

つーか、こんなに土砂降りなんだぞ?まだまだ雨が上がる気配なんてない。

午後の気象予報でも、今夜は夜まで雨が続くでしょう、って言ってたし。

お前の適当な晴れ乞いじゃ、雨は上がらない。

それ以上に。

「…」

珍妙極まりないベリクリーデを見て、「これは絶対に怪しい」と確信したらしい王宮使用人。

「…あのな、ちょっと待ってくれ。俺は本当に、」

「…いえ、分かりました。ちょっと奥で話をしましょう。聖魔騎士を騙って王宮に忍び込もうなど言語道断で…」

「本当なんだって!!」

畜生。ベリクリーデのせいで、俺まであらぬ疑いを。

「ベリクリーデ!お前、ちょっと…しばらく外で待ってろ!」

ベリクリーデがいたら、誤解を解くどころか、余計に怪しまれるのがオチ。

悪いが、ベリクリーデは外で待っててもらって…その間に、急いで用事を済ませよう。