神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…お使い?

「何処に行けば良いんだ?」

「この封書を、王宮の…フユリ女王陛下に届けていただきたくて…」

はぁ、成程。

女王様宛の書類…。それは重大任務だな、

「一応機密文書なので、郵便で送るという訳にもいかなくて…。いつもは私が自ら、王宮に足を運んで届けていたんですが…。今日は、これからちょっと用事があって…」

「用事?」

「実は今日、息子の…レグルスの誕生日なんです」

と、シュニィははにかみながら言った。

ほう。

「家族みんなで誕生会をしようって、昨日の夜からアトラスさんが張り切ってて…」

昨日の夜から準備してんの?

「バルーンで部屋をいっぱいにするんだって、一晩かかって風船を膨らませてて…。…朝には酸欠を起こしてました」

「当たり前だろ…」

エアーポンプを使いなさい、エアーポンプを。

息子の為にと、顔を真っ赤にしながら風船にふーふー息を吹き込んでいる、アトラスの姿を想像した。

…今度エアーポンプ貸してやるよ。

持ってるんだよ、俺。ベリクリーデが浮き輪をもらってきた時に買ったやつが。

「これからケーキ屋さんに、注文してたケーキを取りに行って…。その後お誕生会をする予定なんです」

「そうか…」

微笑ましいな。

何が微笑ましいって、そんな話をしながら、シュニィが凄く嬉しそうなこと。

シュニィも楽しみなんだろうな。その誕生日会が。

そりゃあそうだ。可愛い息子の誕生日なんだから。

シュニィなら、雨の日に傘を持って子供を迎えに行く母親になりそうだ。

シュニィんちの子供達…アイナとレグルスは幸せだな。

「雨の中、申し訳ないのですが…」

「いや…。大丈夫だ。分かったよ、行ってくる」

そういうことなら、俺で良ければ引き受けるよ。

ただのお使いだしな。楽なもんだ。

「本当ですか?ありがとうございます」

ぺこり、と頭を下げるシュニィ。

本当に、お前は…腰の低い上司だな。

「それじゃあ、こちらを…よろしくお願いします」

シュニィは、封がされた茶封筒を差し出してきた。

はいはい、これだな。

「分かった。任せてくれ」

「本当にありがとうございます」

「良いから、早く帰ってやれよ。レグルスが待ってるんだろ」

「は、はい。すみません」

盛大に誕生日会を開いてやってくれ。

きっと喜ぶだろうよ。