神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

既に、不穏な気配が漂ってるが。

家の中の観察は、ひとまずこの辺にしよう。

「…ふー…」

俺は、床にあぐらをかいて座った。

ベリクリーデも、俺の隣に腰を下ろした。

体育座り。

「ジュリス、どうしたの?」

「…」

そろそろ、種明かしをしようか。

「ベリクリーデ。今回の任務の内容、知ってるか?」

「?ジュリスと恋人になって、一緒に住む」

それはちげーよ。

「そうじゃなくて。この部屋、事故物件なんだよ」

「…じこぶっけん?」

「事故物件。曰くのある家ってことだ」

「…いわく?」

「もっと分かりやすく言うと…幽霊の出る家なんだよ」

「…ゆーれい…」

幽霊知ってるか?見たことあるか。ベリクリーデ。

「ゆーれいって、おばけ?」

「…うん。まぁおばけだよ」

「この部屋、おばけいるの?」

「…らしいよ」

俺は任務書を見せながら、ベリクリーデに説明した。

『コーポ シューティング・スター』の204号室には、幽霊が出る。

そんな噂があるらしい。

以前、この部屋に住んでいて心霊現象に遭った住人Aさんは、大家に相談したり、果ては霊媒師まで探し出し、除霊を試みたが。

心霊現象が収まることはなく、ついにAさんは、気がおかしくなってしまい。

仕事をやめ、部屋を引き払い、今は実家に戻って静養しているそうだ。

大家に頼っても駄目、霊媒師に頼んでも駄目。

度重なる心霊現象に心を病み、変わり果てた息子の姿を見たAさんの両親は。

ついに、聖魔騎士団に相談することにしたらしい。

…で、俺達がこうして、自ら調査に来たって訳。

今更だけど、それ聖魔騎士団の仕事か…?

…ま、難しいことは考えまい。

「本当にこの部屋に幽霊なんているのか、その原因は何なのか、除霊は出来ないか…。…ってところを、調べに来たんだよ」

「ほぇー…」

ほぇーって、お前…。本当に何も知らずに来たのかよ。

「俺は一緒に来いなんて一言も言ってないのに、お前が勝手についてきたんだからな」

今更怖がったって、知らないぞ。

おまけに、御札まで勝手に引っ剥がして…。