神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

さて、まず探すべきなのは…。

天井。

首を上に上げ、天井に怪しげなものがないか確認。

「…ふむ…」

「…ジュリスが天井見てる…」

天井には何もなし。

…次は、窓の外。

俺は窓の鍵を開けて、身を乗り出して外を眺める。

「…ふむ…」

「…ジュリスがお外見てる…」

外にも、特に何もなさそう。

…じゃ、次はいよいよ風呂場。

浴室の扉を開ける。

カビの生えた古いタイル張りの部屋に、シャワーヘッドが一つ。

と、小さな四角い浴槽が一つ。

こちらもカビが生えていて、正直あまり綺麗とは言えないが。

しかし、怪しいものは何もなさそうだ。

「…ふむ…」

「…ジュリスがお風呂見てる…」

…大丈夫そうだな。

それじゃ、最後に…。

俺は部屋に戻って、唯一の押し入れを開く。

さすがに、ここはちょっと緊張した。

押し入れに潜るようにして、隈なく探す。

「…ふむ…」

「…ジュリスが押し入れに住もうとしてる…」

「…住もうとしてる訳じゃねぇよ」

見てるだけだよ。見てるだけ。

暗くてよく見えないけど…。

すると、ジュリスが俺の上に覆い被さるようにして、同じく押し入れに顔を突っ込んできた。

お、おい?

「ねぇ、ジュリスあれなーに?」

「は?」

「ちっちゃい紙」

「…!」

ベリクリーデが指差す先を見て、俺も同じものを見つけた。

…あれは。

…早速、恐れていたものが来てしまったか。

俺は押し入れの仕切りに膝を立て、押し入れの天井に貼り付いていた紙を確認した。

やっぱり、これって間違いなく…。

じっと見つめていると、おもむろにベリクリーデが。

あろうことか。

「面白いね。天井にシールが貼ってあるなんて。えいっ」

「あ、馬鹿っ!!」

ペリッ、とシール…御札…を、剥がしてしまった。

慌てて止めようとしても、遅かった。

経年劣化のせいで、ただでさえ取れやすくなっていたのだろう。

ベリクリーデが指先で摘むだけで、あっという間に剥がれてしまった。

「ほぇ?ジュリス、この紙なーに?」

「お、おま…この、馬鹿っ…」

…なんて恐ろしいことを。

「馬鹿野郎、お前…!そんな考え無しに…」

「?」

自分が何をしでかしたのか分かっていないようで、首を傾げていらっしゃる。

…あー…もう。

「…ベリクリーデ、ちょっとその紙、貸してくれ」

「?良いよー」

ベリクリーデは、御札をこちらに手渡した。

俺は、その御札をベリッ、と破り捨てた。

…これで、呪われるとしても俺だろ。…多分。