神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ザリガニをどう調理するか、少し迷ったのだが。

考えた結果、俺は茹でたザリガニを味噌汁にしてみた。

ザリガニの味噌汁。

ほら、アユはシンプルに塩焼きにしたから、ザリガニはちょっと調理してみようと思って。

…え?ザリガニの味噌汁なんてマズそう?

とんでもない。ザリガニの出汁と味噌の風味が絶妙にマッチして、すげー美味いから。

「ほら、ベリクリーデ。熱いから気を付けてな」

「うん。…ずずー」

出来上がった味噌汁をお椀に入れて渡すと、ベリクリーデは早速味噌汁を啜っていた。

「…どうだ?」

「美味しい」

目がキラキラしている。本当に美味しいんだろう。

「ふむ、これはなかなか…」

「クロッティ、ザリガニ剥いて」

「良いだろう」

クロティルダは、ザリガニの殻を剥いてやっていた。

…こいつはまた、ベリクリーデを甘やかして…。

「もぐもぐ…。…ザリガニ美味しい」

ご満悦の様子。

そうか美味しいか。自分で捕まえたんだもんな。

その味は格別というものだろう。

「…マジで?普通に食ってんな…」

「匂いは良い感じですね」

キュレムとルイーシュは、恐る恐るといった様子でザリガニ味噌汁を眺めていた。

匂いだけじゃなくて、味も美味いぞら

「まぁ、騙されたと思って食べてみろよ」

俺は、キュレムとルイーシュにもザリガニ味噌汁のお椀を差し出した。

「…どうぞキュレムさん。お先に」

「おめーは…卑怯なヤツだな」

あくまで、キュレムを毒見役に使おうとするルイーシュであった。

しかし、キュレムもそこは慣れたもの。

えぇいままよ、とばかりに、お椀に口をつけた。

「…あれ?何だコレ。美味いぞ…!?」

…だろ?

ちょっと得意げ。いや、獲ってきたのはベリクリーデだが。

「本当ですか?泥臭さとかないです?」

「ない。全然ない。高級な料亭の味噌汁飲んでるみてーな味」

「ほほう。では、俺もいただきます」

ルイーシュも、ずずず、と味噌汁をひとくち。

「…な?美味いだろ?」

「成程。これはイケますね」

良かった。

作った甲斐があるってもんだよ。

「やべぇ。ザリガニって美味いんだな。スーパーで売ってる安いカニとかより、全然美味いぞ」

「労働後の疲れた身体に滲みますね」

「お前はほぼ働いてないけどな」

気に入ってくれたようで何より。

…それから。

「こっちも、良い感じに焼き上がってるぞ」

忘れないよな?…クロティルダの釣ったアユ。