神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

それから俺達は、今日の「釣果」を持って、聖魔騎士団魔導隊舎に戻ってきた。

で、隊舎裏の空きスペース(以前バナナ植えてるところの近く)に、七輪を持ってきた。

「わーい。バーベキューだ」

「本格的だな」

ベリクリーデとクロティルダも、興味津々である。

…しかし、俺何やってんだろうな。

…まぁ、それは考えないでおこう。

まずは、ザリガニの下処理からだ。

獲ってきたザリガニを、よくよく洗って汚れを落とす。

本当は何日かかけて、泥抜きをしたいところだが…。

今日はすぐに調理したいし…それにあのザリガニ、綺麗な水の中にいたし、体内の泥はそれほど気にしなくても良いだろう。

それより気にしないといけないのは、寄生虫だな。

ベリクリーデはアホの子だから、何でもそのまま丸かじりしようとするが。

今日は、そうはさせないぞ。

まずは大きな鍋に水を入れて、沸騰させる。

そこに、新鮮なザリガニをイン。

「うわー。赤くなっていくよ」

「アスタキサンチンのせいだな」

あすたき…なんだって?

「触るんじゃないぞ。このまましばらく茹でて、寄生虫を殺すからな」

「ザリガニさーん。美味しくなーれ〜」

ぐつぐつと沸騰する鍋を、ベリクリーデは、じー、っと見つめていた。

…じゃ、この間に、今度はアユの下処理だな。

まずはアユを絞めて、包丁でウロコを取り、内臓を掻き出す。

そんな俺の様子を見ていたクロティルダが、一言。

「随分と慣れた手つきだな」

別に天使に褒められても嬉しくないけど。

「まぁ…長生きしてると、それなりにな」

どんなことでも、長くやってりゃ嫌でも上手くなるってもんだ。

それに、魚の処理くらい長生きじゃなくても出来るだろ。

ちなみに、アユは内臓を取らず、そのまま塩焼きにする調理法もあるが。

やっぱり内臓はちょっと苦いし、ベリクリーデは子供舌だから、内臓は取った方が良いかな、って思って。

下処理を済ませたら、尻尾から口まで串を通し、塩を振って、火の側にくべる。

よし、あとは焼けるのを待つだけ。

「美味しそうだね…。…じゅる」

食いしん坊のベリクリーデが、待ちきれずに涎を垂らしている。

ったく…焦るなって。

「まだだぞ。ちゃんと焼けるまで待っててな」

「待ち切れないねー」

良い子だから、大人しく待ってろって。

…すると、その時。

「…!おいルイーシュ、あそこでなんかやってんぞ!」

「あ、ジュリスさん一味じゃないですか」

…この声は。

振り向くと、そこには聖魔騎士団の制服姿のキュレムとルイーシュがいた。

…おぉ、奇遇だな。