神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

まさか、クロティルダにこんな特技(?)があるなんて。

「お前…釣り、得意なのか?」

「別に得意と言うほどでもないが」

その割には、乱獲してないか?

「…つーか、お前釣り竿持ってきてたっけ?」

ここに来た時は、手ぶらだったような…。

「あぁ、釣り竿は作った」

「作った!?」

「そこの木の枝を折って」

マジで?

よく見たら、クロティルダの持ってる釣り竿。

本当に、木の枝だった。

釣り経験者でも、難しいと言われるアユ釣りなのに。

その辺で拾った釣り竿で…。こんなにたくさん釣り上げるなんて…。

「お前…。…釣りの天才か…?」

「クロティルダ、すごーい」

悔しいが、認めざるを得ない。

こいつはアユ釣りのプロだ。

…天使やめて、漁師になったらどうだ?

「ねぇ、ジュリス。このお魚って食べられるの?」

え?

「あ、あぁ…。美味いぞ、アユは」

「ほんとっ?食べたい」

食いしん坊ベリクリーデ。

「ねぇクロティルダ、食べても良い?」

「良いぞ。その為に釣った」

「やったー。ありがとう、いただきま、」

「ちょっと待てベリクリーデ。ナマは駄目だって」

アユの尻尾を取り、あろうことか、そのままバリバリ食べようとするベリクリーデを、急いで制止した。

そのまま食う奴があるかよ。

「え?でも、新鮮なお魚はそのまま食べられるって」
 
「刺し身じゃねぇんだから。いや、刺し身にしたって、ちゃんと捌かないと駄目だろ」

あと、川魚は寄生虫の危険があるから、ナマで食べるのはよしなさい。

「もうちょっと待ってくれ。帰ったら、ザリガニと一緒に調理してやるから」

「ジュリスが作ってくれるの?」

「あぁ、俺がやるよ」

とでも言わなきゃ、ベリクリーデのヤツ、ナマのアユを頭からバリバリ食べ始めかねない。

折角の活きの良いアユが。もったいない。

「やったー。じゃあ待つ」

「よし。それで良い」

「クロッティも一緒に食べようね」

「感謝する」

…良いよ別に。釣ったのはお前なんだから。