神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ちょっと待て。それは大きな誤解というものだ。

俺とベリクリーデのことだろ?誰が恋人同士だって?

冗談じゃない。

「え、いや、そんな、」

訳ないだろ、と言いかけたが。

じゃあどういう関係なのかと聞かれたら、困るのは自分だということを思いつき、口ごもった。

勿論、正直に言う訳にはいかない。

まさか、聖魔騎士団の同僚です、なんて。

他に何か、上手い言い訳を考えなくては。

でも…なんて言えば良い?

妹…?いや、良い年頃の兄妹が一つ屋根の下同居なんて、なんか訳アリかと思われそうだし。

じゃあ…友達?いや、友達の関係じゃ一緒には住まないだろ。

俺の子供…というのは不自然だし、こんなでっかい子供産んだ覚えはないし。

…結局のところ、恋人と同居、が一番自然で、説得力のある言い訳のように思えた。

畜生。

「え…えぇ、まぁ、そうです…」

不本意ではあるが。非常に不本意ではあるが、俺は素直にそう認めた。

更に、ベリクリーデも。

「恋人だよー」

と、フォローになってないフォローを入れた。

よし、良いぞ。口裏を合わせてくれた。

ベリクリーデにしては良い判断だ。

「ふーん…」

自分で聞いてきた癖に、あまり興味のなさそうな大家。

「え、えぇと。駄目でしたか…?」

「別に、好きにすれば良いけど…。でも、子供はやめてね。泣き声が迷惑だから」

それは大丈夫。子供なんて作る予定、まっ…たくありませんから。

「は、はい。それはもう…分かってます」

「じゃ、そういうことで」

大家はぱたん、と扉を閉めてしまった。

愛想ねぇなぁ…。

なんか、手土産でも持ってくるべきだったか…。

ま、それは後だな。

「よし…ベリクリーデ、行くぞ」

「ジュリスとこいびと。恋人〜」

「…言っとくが、それは方便だからな…?」

分かってるか?こいつ…。