神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

わざわざクロティルダまで呼んで、一体何をして遊ぶのかと思ったら。

「見てー」

ベリクリーデは、何やらカラフルな表紙のパンフレットを、クロティルダに見せた。

「何だ、これは」

俺も聞きたい。

「シュニィにもらったの。えっとね、りょこーがいしゃ、って人から送られてきたんだって」

…何やら舌っ足らずだが。

旅行会社のパンフレットじゃないか。

旅行会社が企画する、各地へのツアーがたくさん掲載されている。

…そういや、この間の休み…シュニィ一家は、旅行に行ったんだって話してたな。

廊下のど真ん中で、通りすがりのキュレムが、アトラスに捕まってるのを見かけた。

アトラスがさ…。旅行の写真を見せながら、めっちゃ真剣な顔でキュレムに語ってんの。

写真には、旅行先の花畑を背景に、はしゃいで遊ぶアイナと。

それから、弟のレグルスを腕に抱きながら、はしゃぐアイナを微笑みながら見守る、シュニィの写真。

非常に微笑ましい家族写真を手に、アトラスは、いかにシュニィが可愛いか、そして子供達が可愛いかを、力説していた。

…そりゃまぁ、幸せそうで大変結構だけども。

そのノロケ話を延々と聞かされていたキュレムは、白目を剥いていた。

ただただ、キュレムが気の毒だった。

ちなみに、後で聞いたところによると、アトラスに捕まった時、傍には相方のルイーシュもいたらしいが。

満面の笑みで写真を見せつけてくるアトラスを見るやいなや。

ルイーシュは得意の空間魔法で、キュレムを置き去りにして異空間に逃げたらしい。

あいつは賢い奴だよ。

そして、ただただキュレムが気の毒だった。

…で、そんな感じで旅行に行ったらしいシュニィ一家。

に、旅行会社から、また新しい旅行のパンフレットが送られてきたらしい。

これは、経験したことがある人なら分かると思うんだが。

一度旅行会社のツアーに参加したら、その後もその旅行会社から、「今度はこんなツアーがありますよ」と、定期的に旅行パンフが送られてくるんだよな。

シュニィのもとにも、そのパンフが送られてきたと…。

「シュニィにね、それなーに?って聞いたら、旅行のパンフレットだって。私はもう当分旅行には行かないと思うので、良かったらどうぞ、って」

という経緯で、ベリクリーデのもとに旅行パンフが渡ってきた訳か。

ふーん…シュニィにもらったのか。

シュニィにしてみれば、ベリクリーデに玩具を与えるようなものだったんだろうな。

こういうパンフってさ、見てるだけで面白いだろ?

実際には行かなくても、旅行の日程表を見ているだけで、ちょっとした旅行気分を味わえるって言うか。

「色んなツアーが載ってるんだよ」

実際、ベリクリーデも嬉しそうにパンフを眺めている。

「ほう。冥界ぶらりグルメツアー、とか?」

「あるかもねー」

ねーよ。

ぶらりと行くところじゃねーから。

「ほら見て、これ美味しそうでしょ」

と、ベリクリーデはパンフレットに載っているツアーの一つを指差した。

美味しそう…?

「秋の果物狩りツアーか」

あぁ、よくあるよな。そういうの。

お土産に、1キロ分の果物プレゼント、とか。

ぶどう、梨、桃、柿などの秋の果物がたくさ?。

見てるだけでも美味しそう。

「美味しそうだね」

「そうだな」

ベリクリーデ、果物狩りツアーに興味津々である。