神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

畜生。言わなきゃ良かった。

などと、後悔してももう遅かった。

「クロッティ久し振り。元気だった?」

「あぁ。お前は?」

「元気だよ」

何を爽やかに挨拶してるんだ。お前らは。

「それで、今日は何の用だ?」

「これ、お昼ご飯に食べようと思ってるんだけど…」

「…何だこれは?」

カップ麺を知らない天使、クロティルダ。

「キュレムにもらったの。お昼ご飯に食べてって」

「食べ物なのか。これは」

しげしげ、と珍しそうにカップ麺を見つめる。

カップ麺と天使…。まったく似つかわしくない組み合わせだが。

「どうやって食べるのかな?」

「まずは中身を取り出さないことには、可食部が見えないな」

「うーん。何処から開けるのかな」

蓋。蓋があるだろ。

つまんで、引っ剥がして開ければ良いんだよ。

しかしベリクリーデは、強引に、爪でガリガリと蓋を引っ剥がした。

「取れた」

取れた、じゃねぇんだよ。

そんな開け方して。お湯を入れた後、どうやって蓋を閉めるつもりだ?

しかし、ベリクリーデはそんなこと、なんのその。

「見て見て、なんか出てきた」

カップの中には、油で揚げられ、カチカチに乾燥した麺と。

それから、粉末スープと、かやくの袋が出てきた。

ベリクリーデはそれを、目を真ん丸にして見つめ。

「…何だか、あんまり美味しそうに見えないね」

「これは本当に食べ物なのか?」

「多分…」

自信をなくすな。ちゃんと食べ物だよ。

カップラーメンに失礼だろ。

「食べてみれば分かるよね」

えっ?

「いただきまーす」

ベリクリーデは、硬いままの麺を、そのままバリッ、と齧った。

無知とは恐ろしいものである。

まさか、カップ麺にお湯を入れず、そのまま麺に齧り付くとは。

顎と歯、大丈夫なのか?

「ぼりっ…ばり、ぼりっ…」

…食ってるし。

「どうだ?味のほどは」

「うーん…?…何だか、油っぽくて、硬い」

当たり前だよ。バカちん。

「あんまり美味しくない…」

そりゃそうだろうよ。

気づけ。粉末スープとかやくが入ってるだろ。

それを麺の上にかけて、それからお湯を…。

すると。

「…ん?こんなものが出てきたぞ」

クロティルダが、カップの中から粉末スープとかやくの袋を見つけた。

それだ。よくやったクロティルダ。

「それなぁに?」

「これをトッピングして食べるんじゃないか?」

「ほぇー」

ペリッ、と粉末スープの袋を開けるクロティルダ。

ベリクリーデは、その袋の中に指を突っ込んだ。

それから、その指をペロッ、と舐めた。

…何やってんの?

「…しょっぱい」

だろうな。

「こんなしょっぱいの、かけるの…?」

「ドレッシングみたいなものなんじゃないか?口に合わなければ、無理にかける必要はない」

「そっか。じゃあやめとこーっと」

おい。何言ってんだお前ら。

こいつら、一体何でパッケージに書いてある「作り方」を見ないんだ?

アホの子なの?