神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「ジュリス、ショウガ食べに行こう」

「ベリクリーデ。お前一人で行ってこいよ」

「えっ」

悪いけど。

「俺、今仕事が忙しいんだ。一人で行ってきてくれ」

「…」

「…な、何だよ?」

ベリクリーデは、固まっていた。

時が止まったかのように。

俺、なんか不味いことでも言った?

まさか聞こえてない訳じゃないよな。

「…あの、だから、一人で行ってこいって」

「…」

「…」

「…ふぇ」

ちょ、ま、待てって。

俺は慌てて、ペンを持ったまま立ち上がった。

「な、な、何で泣くんだよ?別に泣くことじゃないだろ?」

「ふぇぇぇ…」

「泣くなって。頼むから。泣くようなことじゃな、」

「うわぁ…見ろよ、ルイーシュ。あれ」

!?

慌てて振り向くと、開けっ放しのドアの向こうに、通りすがりのキュレムとルイーシュがこちらを見ていた。

「まーたベリクリーデちゃんを泣かせてるぞ」

「本当だ。女性を泣かせるなんて最低ですね」

ちょっと待て。誤解だって。

「可哀想に、ベリクリーデちゃん」

「どうしたんですか?今日は」
 
「ジュリスがね…。ジュリスが、一人で。私に、一人で、行けって」

ひくひく、と泣きじゃくりながら訴えるベリクリーデ。

俺、完全に悪者扱い。

「マジかよジュリス最低だな」

「女の敵ですね」

「ちょっ…!」

違うって。話をちゃんと聞いてくれよ。

俺はただ…昼飯を一人で食べてこい、って言っただけで。

駄目なのか?それすら許されないのか、俺は。

「可哀想になぁベリクリーデちゃん。おーよしよし。あんな冷血漢はほっとこうぜ」

キュレムは、大袈裟にベリクリーデの頭を撫で。

ベリクリーデを連れて、俺の部屋を出ていった。

…何で?

俺、何も悪いことしてないはずなのに、何故かめっちゃ罪悪感を煽られてるんだけど。

理不尽だろ。