神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

納豆って、好きな人は好きだけど、嫌いな人はとことん嫌い、みたいな印象。

パクチーとかゴーヤと一緒。

他のものなら何でも食べられるけど、納豆だけはどうしても無理、って言ってる人を見かけたことがある。

匂いがダメとか、ねばねばしてるのがイヤとか、色々言われるが。

俺は、結構好きだ。

最高のご飯のお供だろ?

で、その納豆を押し付けられたキュレムはと言うと。

「自分の嫌いなものを寄越すんじゃねぇ!」と怒っても良いはずだが。

「ったく…。まぁ、自分は納豆好きだから、別に良いけどさ…」

さすが、ルイーシュの扱いに手慣れているキュレム。

このくらいでは文句も言わず、自分のと合わせて、二人分の納豆をご飯にかけていた。

明らかに、ご飯の割合と納豆の割合が合ってないが。

キュレムは、気にせずに2倍納豆ご飯をかき込んでいた。

…さすがである。

じゃ、俺も自分の納豆を食べるとするかな…。

…すると。

「…じー…」

「ん?」

隣のベリクリーデが、しげしげと納豆のパックを見つめていた。

…どうした。

「ベリクリーデ?」

「…じー…」

めっちゃ見てる。

「ベリクリーデさんも、納豆苦手なんですか?」

「…?」

「分かりますよ。ゲロみたいな匂いしますもんね。人間の食べ物じゃないですよコレは」

おいやめろ。全国の納豆好きな人を敵に回す発言。

その独特の香りが好きな人だっているんだよ。

ベリクリーデも納豆苦手なのかと思ったが、これは苦手なのではなく…。

「ベリクリーデ、お前納豆知らないのか?」

「…なっとー?」

「納豆。大豆を発酵させた食べ物なんだけど…」

「はっこー?」

「…まぁ、実際食べてみた方が早いな」

俺も言葉で説明するのは難しいよ。

俺はベリクリーデのトレイに手を伸ばし、納豆のパックを開けた。

付属のタレと、カラシが入っている。

俺はカラシ、入れる派だが…。ベリクリーデはどうだろうな。

こればかりは好みの問題。

ベリクリーデは子供舌だから、カラシは入れない方が良いかもな。

タレだけを入れて、箸でかき回した。

ここで何回混ぜるかは、人によって様々。

あんまり長々とかき混ぜてもアレだし、大体20〜30回くらいで良いかな。

「ジュリス、何してるの?」

「かき混ぜてるんだよ。納豆はな、こうやってよく粘りが出るまでかき混ぜてから食べるんだ」

「ほぇー。ぐるぐる〜」

はいはい、ぐるぐる。

…よし、こんなもんかな。

これを、白米にかける…っと。

これで良し。

「ほら、出来たぞ。食べてみろ」

「ほぇー」

生まれて初めての納豆ご飯に、興味津々のベリクリーデ。

…匂いと見た目で拒絶しない辺り、意外と大丈夫そう、か?