神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

朝食メニューを見たベリクリーデは。

「…タガメじゃなかった…」

何でちょっとしょんぼりしてんだよ。

食べたかったのか?タガメ。

…かく言う俺も、今日は洋食の気分だったんだが。

まぁ良いや。和食は和食で、美味いし。

「ほら。気を取り直して食べようぜ」

「うん、分かった。明日はタガメだと良いね」

俺は嫌だけどな。

さて、カウンターで朝食のトレイを受け取って。

席に座ろうと思ったのだが、さすがにこの時間は混んでいる。

「えぇと…座るところ、座るところ…」

食堂の中を、きょろきょろと見渡す。

一人席ならちらほら空いてるんだが、今はベリクリーデが一緒にいるからな…。

出来れば、二つ並んで空いてる席に座りたいのだが…。

「あ、あった」

あるじゃん。空いてる席。良かった。

早足で歩いて、その席を確保。

ふー、やれやれと着席すると…。

「お。リア充共が来たぞ」

「本当だ。一緒に朝食とは…今日も仲良しですね」

ん?

席に座って、真表面を見ると。

そこに、同僚のキュレムとルイーシュが座っていた。

「…またお前らか」

「またって何だよ」

「いや…」

よく会うなと思って。…しかも、この食堂で。

なんつーか、他の隊士の皆さんもさ、わざと空けてくれてるんじゃないかなって。

キュレムとルイーシュの正面には、俺とベリクリーデが座るから、って。

別にそういう気遣いはしてくれなくて良いぞ。

…まぁいっか。空いてるんだし。

俺は別に立ち食いでも良いけど、ベリクリーデに立ったまま食べさせる訳にはちかないし。

遠慮なく座らせてもらうよ。

「お魚、美味しい?」

席に座ると、ベリクリーデがキュレムとルイーシュに尋ねた。

サバな、サバ。

「うん。うめーよ」

「俺は、魚はあんまり好きじゃないんですけどねー」

と、ルイーシュ。

何でだよ。美味いじゃん魚。

煮て良し、焼いて良し、揚げて良し。

何なら、ナマで食べても美味しい万能食材だぞ。

「ベリクリーデちゃんは?魚、好きか?」

「うん、好き。でもね、私ね、今日はタガメ食べたかったの」

「へぇー。魚の代わりに亀を食べたいとは、ベリクリーデちゃんは変わってんなー」

…あのな、キュレム。

なんか勘違いしてるみたいだけど、タガメって、亀じゃねーから。虫だから。

「俺は食べたことないですけどね、亀」

「俺もねーよ。美味いのかねぇ?」

「さぁ。なんか生臭そうですね」

と、言いながら。

ルイーシュはおもむろに、自分のトレイの納豆のパックを手に取り。

それを、キュレムのトレイにぽん、と乗せた。

プロの手つき。

俺じゃなきゃ見逃すレベル。

だが、キュレムは見逃してなかった。

「…なぁ、今、さりげなく納豆こっちに寄越さなかった?」

「すっぽんとかなら食べてみたいですけどね」

「何食わぬ顔で会話を継続するんじゃねぇ」

…納豆、苦手なのか?ルイーシュ。