神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

適当言ってんじゃねぇぞ。

ナスとナスビは…方言の違いだよ。地域によって呼び方が変わるだけ。

それなのにルイーシュは、適当な作り話をでっち上げて…。

「じゃあ、せんぷーきと、れいふーきはどう違うの?」

きょとん、と首を傾げるベリクリーデ。

扇風機と…冷風機?

あれは明確に違うものだろ。

扇風機はただ風を送るだけで、冷風機はその上位互換で、冷たい風を、

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"が出来るのが扇風機で、出来ないのが冷風機だよ」

何?そのめちゃくちゃ理論。

言いたいことは分かるけども。

「ほぇー」

ベリクリーデも。そんな説明で納得するなって。

「それじゃ、オムライスとオムレツはどう違うの?」

そんなの決まってるだろ。

卵の中に中にお米が入ってるのがオムライスで、別のものが入ってる、あるいは入ってないのがオムレツ…、

「メイドカフェで食べられるのがオムライス、メイドカフェで食べられないのがオムレツですよ」

「ほぇー」

「まぁ行ったことないですけどね、メイドカフェ」

ちょっと待て。違うっての。

いや、違わないかもしれないけど。でも違うんだよ。

「…めーどかふぇ、って何?」

「メイド服を着た可愛い女の子が、『お帰りなさいませ、ご主人様!』ってお迎えしてくれる、素敵な場所だよ」

「…?そんなところがあるの?楽しいの?それ」

おい。ベリクリーデに変なことを教えるなって。

「ベリクリーデちゃんも、男に生まれりゃ分かるよ」

「ジュリスさんもきっと好きなはずですよ」

はぁ?

「おぉ、そうだな。今度ジュリスが帰ってきた時、メイド服着てお出迎えしてみ。きっと喜んでくれるよ」

「そっかー。じゃあやってみ、もごもごもご」

ついに耐えきれなくなった俺は、ベリクリーデのお口を手で塞いだ。

誰が、何をやってみるって?

言わせねぇよ。

「…お前ら。マジふざけんなよ」

キュレムとルイーシュにブチギレ。

…しかし。

「おっと。旦那様がお怒りだぞ」

「それじゃ、我々は退席するとしましょうか」

とか言って、二人は定食のトレーを手に、さっさと席を立った。

逃げやがった。

「お、お前ら…!」

…言いたいだけ言って、帰りやがった。許されざる行為。

で、残された俺とベリクリーデは。

「ねぇ、ジュリス」

「…何だよ」

「お帰りなさいませ、ジュリス様、って言えば良いの?」

「…それはやめてくれ」

切実にやめてくれ。

良いか。今度、外出から帰宅した時、ベリクリーデがメイド服を着て俺を出迎えるようなことがあったら。

キュレムとルイーシュを見つけ出して、タコ殴りにしてやるから。覚えとけよ。





END