神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

言葉で説明するより、まずは実行に移そう、ということで。

俺はベリクリーデを連れて、街に繰り出した。

「えーと…。この書類によると…住所は…」

「ねぇねぇ、ジュリス。ねぇねぇ」

「あー…。バスで行った方が早かったかな…」

「じゅ〜り〜す〜」

あぁ、もう。

「何だよ。腕をつんつんするな」

「だって、ジュリスが返事してくれないんだもん」

「良いか、遊びじゃないんだ。これは任務なんだぞ」

「分かってるよ〜」

全然分かってないだろ。何だその間延びした返事は。

すると。

「ねぇ、ジュリス」

「何だ」

「今日、何で私服なの?」

…その通り。

俺とベリクリーデは今、聖魔騎士団の白い制服ではなく。

休みの日に着る、私服を着用している。

これは珍しいことである。

聖魔騎士として任務に出る時は、行き先が何処であれ、いつも制服を着用しているから。

それは、俺達の身分を証明すると同時に。

俺達が国の為、国民の為に仕事をしているという誠実な態度を見せる為でもある。

しかし、今回はその必要がない。

むしろ逆だ。

通りすがり一般人達に、俺とベリクリーデが聖魔騎士団の人間だと気づかせたくない。

身分を隠し、一般人に紛れて任務を行う必要がある。

だから、敢えて私服に着替えるよう、ベリクリーデに言ったのだ。

勿論、俺も私服である。

なんかこの格好だと、仕事してるって気がしないな。

するとベリクリーデは、何を思ったか。

「ジュリスかっこいいね」

「は?」

「制服のジュリスもかっこいいけど、普段着のジュリスもかっこいい〜」

…何を言ってるんだか。

「そういうお前こそ。ベリクリーデにしては普通の私服だな」

ベリクリーデは、白いブラウスに薄い緑色のフレアスカートという、非常に落ち着いた、清楚で清潔感のあるコーディネート。

お前はもっと奇抜な格好してると思ってたよ。

しかし、そこには落とし穴があった。

「これね、シュニィにもらったの」

「え?」

「前、私が私服着てるのを見て、『私の古着ですけど…』って言って、くれたんだー」

…成程。それシュニィの服だったのか。

道理でまともだと思った。

確かによく見たら、シュニィによく似合いそうなデザインだよ。

「そんなことしなくても。私、他に自分の服持ってたのに…」

「お前が選んだ私服って、どんなんだ?」

「え?お腹のところに『参上!!』って書いてあるTシャツ」

「お前がそれを着てこなくて、心底良かったと思ってるよ…」

「えぇー?」

下手に目立ちたくないから私服なのに、別の意味で注目を集めるところだった。

ありがとうシュニィ。お前は偉い。