神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

しばらくの間、大喜びで12個のヨーヨーをばいんばいんして、遊んでいたベリクリーデだが。

「お…。ベリクリーデ、りんご飴だぞ」

「ほぇっ?どこ、どこ?」

「ほら、あそこ。子供達が集まってるだろ」

俺がりんご飴の屋台を指差すと、ベリクリーデは嬉々として。

「わーい。行ってみよう」

「ちょ、こら待てって」

「ほぇ?」

目的だったりんご飴を前に、走り出そうとするベリクリーデの腕を。

俺は、寸前でガシッと掴んで止めた。

危ないところだった。

「お前な、俺の傍から離れるんじゃない」

「えっ?」

「迷子になったら困るだろ」

「…」

そんな可愛くぽやんと首を傾げても駄目。

「…ん」

ベリクリーデは、素直にこくりと頷き。

ぴったりと、俺にすり寄ってきた。

ちょ、違う。離れるなってそういう意味じゃ。いやそういう意味でもあるんだけど。

一定の距離を保ったまま離れるな、ってことであって。

…あぁ、もう。

俺は、ベリクリーデの手をぎゅっ、と握った。

…これで良いだろ。

「…ふぇ?」

「手、離すなよ。良いな?」

「…ん」

またしても、こくりと頷くベリクリーデ。

…こういう素直なところは、ベリクリーデの良いところなんだけどな。

素直過ぎて、逆に困るって言うか…。

…ま、大人しくしてるんだからいっか。

「…」

クロティルダは、そんな俺とベリクリーデをじっと見つめていた。

…何を考えているのやら。

それより、りんご飴だ。りんご飴。

屋台に近寄ってみると、そのお店はりんご飴の他、様々なフルーツ飴を売っているようで。

りんごの他、いちご飴、キウイ飴、ブドウ飴など、色んな種類がある。

非常にカラフルなラインナップで、見ているだけで楽しい。

「色々あるぞ、ベリクリーデ。どれにする?」

「わー、美味しそう。これ緑色で綺麗だね」

「それはキウイだぞ」

「…きゅーい?」

…キウイだって。

「で、どれにする?」

「うーん、どれも美味しそうだけど…。…やっぱりりんご飴が良いかな」

食べたがってたもんな。りんご飴。

じゃ、それにすると良い。

「小さいのと大きいのがあるけど…」

「大きいの!」

欲張りさんめ。

念願のりんご飴(大)を手に入れて、いたくご満悦のベリクリーデ。

「ジュリスは要らないの?」

「え?いや、俺は別に…」

「すみませーん。ジュリスには、このきゅーいの飴ください」

おい。勝手に頼むなって。

しかも、何でキウイ?

「クロティルダはどうするの?」

「そうだな…。じゃあ、俺はこれで」

クロティルダが選んだのは、いちご飴だった。

…無駄に可愛いな。天使の癖に。