神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

さて、花火大会にやって来た俺達。




「…花火、上がってないよ?」

「詐欺か?」

ベリクリーデとクロティルダは、二人揃って空を見上げていた。

「…まだ打ち上げ時間じゃないんだよ」

勝手に詐欺呼ばわりするんじゃあない。

「花火が上がるのは…あと…そうだな、一時間後くらいだ」

「なーんだ」

「まだ花火が上がってもないのに、これほど人が集まっているのか…。…物好きな人間もいたものだ」

言っとくが、お前もそのうちに入ってるんだからな。偉そうに言ってんじゃねぇ。

「それまで何してよっか?」

「そうだな…。キュレムとルイーシュと、それからシュニィもお土産買わないといけないし…。…屋台でも見に行くか?」

「あ、そうだ。りんご飴欲しい。りんご飴〜」

「あ、こら待て!」

ベリクリーデはりんご飴を求めて、一人でてくてくと屋台を見に行ってしまった。

ちょ、待てってコラ。一人で行くな。

案の定、一人でちょろちょろしやがって。

こんな人混みなんだ。ベリクリーデから目を離したら、すーぐ迷子になってしまう。

俺は、急いでベリクリーデの後を追い掛けた。

「クロティルダ、お前もベリクリーデから目を離すなよ。うっかりするとベリクリーデが…」

「ほう、生け簀に魚を放して販売しているのか。新鮮だな」

「おい。何でお前まで興味津々なんだよよ」

クロティルダは、金魚すくいの屋台をしげしげと見つめていた。

「クロティルダ、何見てるの?」

「魚だ」

「わー。いっぱいいる!」

ベリクリーデまで。

「ちっちゃいけど、美味しそうだね」

「あぁ。しかし、何故花火大会で生きた魚を販売しているのか…。…鮮魚店なんだろうか」

「きっとそのまま食べるんだよ。口の中に、ぽいって」

「成程」

おい。何勝手な推理をしてるんだ。違うって。

あれは金魚だ。食べ物じゃないんだよ。

「赤と黒がいるのはどういうことだ?品種の違いか?」

「きっと黒い方が美味しいんだよ。よく熟して」

「成程」

納得するのかよ。

ふざけてるようにしか聞こえないが、こいつら、これ真面目に言ってるからな。

もうそう思わせておく方が良いのかもしれない。

「ねぇクロッティ。あっちは何だろう?」

「…何やらたくさんの紐から、一つを選んでいるようだな」

…ん?

ベリクリーデが指差しているのは、くじ引きの屋台だった。

あぁ、これも定番だよなぁ。

てこてこ、とくじ引き屋の前にやって来たベリクリーデ。

良いんじゃねぇの?くじ引きくらいやってみても。

今日の運試し、って感じだな。