神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

だって、浴衣の下って…。…下着じゃん?

俺の手でベリクリーデに浴衣を着せようと思ったら、その…下着姿をどうしても見なきゃいけなくなる。

それに、足元の丈の調節や、首元の襟を綺麗にならしたり…。

その為に、足とか、首とか、それから…腰周りとかにも、嫌でも、触らなきゃいけなくなるじゃないか。

俺としてはそういうの、避けたいワケ。分かるだろ?

だから、着付けは同性に頼むのが一番。

そこで、シュニィに頼んだのだ。

…それなのに。

「私、ジュリスに着せて欲しいな」

俺のそんな事情も知らず、ベリクリーデは無邪気にそう言った

ちょ、おまっ…。

「馬鹿。男に着替えを手伝わせるんじゃない」

「…!男女差別だ」

やめろって。

そういうのは男女差別とは言わないんだよ。

「クロティルダは手伝ってくれたよ?」

「あいつはそりゃ…。…なんも意識してなさそうだったもんな…」

馬鹿だよ、あいつは。

そして朴念仁だ。

俺は真っ当に普通の、良識のある男なので。

女の着付けを手伝うなんて、そんな誤解を招きかねない愚かなことはしない。

「良いから、シュニィに着せてもらいなさい」

「えー」

「えーじゃない」

シュニィに失礼だろ。

「帯だけは俺が結ぶから。浴衣の着付けと、それから髪を整えてやってくれるか?」

「はい、分かりました」

シュニィは、笑顔で引き受けてくれた。

ごめんな。シュニィも仕事で忙しいのに。

「ほら、ベリクリーデ。行って来い」

「うん、分かった」

ベリクリーデは、ちょこちょことシュニィの部屋に入っていった。

ぱたん、と閉じられるドア。

…よし。

じゃ、俺も着替えてくるとするかな。