神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…一時間後。

結局、ほぼ、っつーか、まったく会議は始まらず。

「はっ!そろそろ定時だ。子供達のところに帰らなくては!今日の会議終わり!」

という、アトラスの一言で。

今月の聖魔騎士団全体会議、終了。

…アトラスの妻子自慢だけで終わったんだが?

会議の時間が終わるなり、アトラスは子供達の待つ家に帰る為に、さっさと席を立った。

遅れてきておいて、一番に帰りやがったぞ。

「…すみません…」

残されたシュニィが、顔を真っ赤にして謝った。

夫の醜態を、何より恥じていたのは彼女に違いない。

「いや…お前は悪くない、シュニィ…。俺が地雷を踏まなければ…」

「本当に、本当にすみません…。…先週の休日に、家族揃って夏祭りに行ってから、ずっとあんな感じで…」

あぁ、やっぱりあれ、夏祭りだったんだ。

「良いなー、夏祭り。私も行きたい」

と、俺の横でベリクリーデが言っていた。

「今日の会議、結局肝心なこと何も話してないけど…」

「え、えぇと…。急ぎの議題はないので、一応…今月は、大丈夫です」

あ、そうだったんだ…。…そりゃ良かった。

最悪、また明日再度集まることになりかねなかった。

「今日話す予定だった連絡事項は、後で書面にして、明日にでも皆さんに配りますので…」

「あ、あぁ…。ありがとう」

「本当に、アトラスさんが…。…すみませんでした」

謝らなくて良いって、シュニィ。

仲良くて何よりじゃないか。

夫にベタ褒めされたシュニィも、恥ずかしいという気持ちの反面。

照れ臭い、褒められて嬉しいという気持ちもあるのだろう。

そのせいで、アトラスを本気で叱れない。

シュニィは俺達に何度も謝りながら、アトラスの後を追って会議室を出ていった。

…やれやれ。

「…ほんと、仲良し夫婦で羨ましいことだな」

思わず、そう呟いてしまったが。

「…お前が言うか!って感じだな」

「ですよね。自分も散々見せつけてくる癖に…」

俺の背後で、キュレムとルイーシュが何やら、ぼそぼそ呟いていた。

「…なんか言ったか?」

今の、俺に向かって言ったのか?そうなんだよな?

誰が何を見せつけてるって?

「いやぁ、何でもない、何でもない。なぁルイーシュ」

「えぇ。我々は何も言ってませんが?」

おい。しらばっくれてんじゃねぇ。

「無自覚リア充カップルは滅びることを祈って、今日は外に牛丼でも食べに行こうぜ、ルイーシュ」

「そうですね。行きましょう」

あ、こら。

キュレムとルイーシュは、言いたいだけ好き勝手言って、さっさとその場から立ち去った。

何だよ。どういう意味だよ。無自覚リア充って。

ったく…。どいつもこいつも、勝手なことばかり…。

「ねぇねぇ、ジュリス」

「あ?」

ベリクリーデが、ちょいちょい、と俺の服の裾を引っ張ってきた。

「りんご飴、食べたい」

と、ベリクリーデがおねだりしてきた。