神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

その後もアトラスは、浴衣姿のシュニィがいかに可愛いか、いかに美人かについて。

鼻息を荒くして、これでもかと言うほど力説してくれた。

そして、子供達の自慢も。

分かったから。シュニィが美人なのも、子供達が可愛いのも分かったから。

それはよーく、よーく分かったから。

だから、もう解放してくれ。

この場にいる皆がそう思っていたが、誰もそうとは言えなかった。

知っているからだ。

こうなったアトラスは、止めたって止まらないということを。

今のアトラスは、さながら暴走機関車である。

何処の命知らずの馬鹿が、暴走機関車の前に立って止めようとするものか。

迂闊に止めようものなら、あっという間に轢き殺されるのがオチ。

ましてや、「そんなに美人じゃなくね?」なんて言ってみろ。

そいつは、生きて明日の日を拝めない。

まぁ、実際浴衣姿のシュニィ、凄く美人だからさ。

それは言わないけどな。

そうこうしている間に、会議の時間がどんどん過ぎていく。

あぁ…。時間の流れは無常だ。

アトラスが言ってた「とてもとても大切なもの」が、この写真だということは最早明白。

そして、ベリクリーデが言った、「スイッチをぽちっ」の意味が分かった。

アトラスの…「嫁馬鹿&親馬鹿モード」のスイッチを押してしまったのである。

…俺が愚かな質問をしてしまったばかりに。

すると、ベリクリーデの反対隣に座っていたキュレムが、肘で俺の脇腹をドスッ、と突いてきた。

「…いてっ」

「お前のせいだぞ。どうしてくれんだよこれ!」

小声で怒られた。

こうしている今も、アトラスはシュニィの美しさを力説している。

「お…俺が悪かったよ…」

キュレムだけじゃなくて、この場にいる全員に謝罪したかった。

「りんご飴食べたいなー」

ベリクリーデだけが、アトラスの話をまったく聞かずに、ひたすらりんご飴に憧れを抱いていた。

…お前の呑気さが羨ましいよ。

俺、あまりにも居たたまれなくて、泣きそうなのだが?