神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「まずはこれを見てくれ!」

と言って、アトラスは一枚の写真を、テーブルの上に示した。

…何だコレ、と思ったが。

仲睦まじい、親子の写真だった。

まず中央に写っているのは、シュニィだ。

その格好が、また特殊だった。

シュニィは浴衣姿だった。

白地に青と紫色のアジサイがプリントされた、清楚で上品な浴衣を着て。

髪の毛をアップにして、浴衣とお揃いの、アジサイの飾りがついたかんざしをつけていた。

すげぇ、なんか、新鮮な気分だ。

いつもは聖魔騎士団の制服姿のシュニィを見慣れているが。

元々シュニィは美人だからな。

浴衣姿もよく似合っている。

そして何より、シュニィは笑顔だった。

心から幸せそうな笑顔。

その理由は明白である。

シュニィは片手に、レグルスを抱っこしていた。

ルシェリート夫妻の間に生まれた、長男である。

そのレグルスは、赤ちゃん用の浴衣を着ていた。

浴衣と言うか、甚平だな。

紺色の、ベビー甚平。

そして、シュニィはもう片方の手で、小さな女の子の手を握っていた。

シュニィとアトラスの愛娘、アイナである。

そのアイナの格好が、また可愛らしかった。

浴衣ドレス、って言うんだよな。こういうの。

浴衣の裾がスカートみたいにヒラヒラしていて、お洒落で可愛い。

アイナの浴衣ドレスは水色で、腰に帯のように、紫色のリボンを巻いていた。

そのアイナは、片手でシュニィの手を繋ぎ、もう片方の手に、りんご飴を持っていた。

アイナの顔は満面の笑みで、写真を見ているこちらも、思わず顔が綻んでしまいそうになった。

恐らく、夏祭りか何かの写真なんだろうな。

周囲は暗くて、大勢の人が行き交っているようだった。

非常に微笑ましい、夏祭りの親子のワンシーンを捉えた写真。

そのせいで、迂闊にこう言ってしまったのが間違いだった。

「へぇ…。…可愛いな」

「だろう!?」

び、びっくりした。

めちゃくちゃ食い気味で同意された。

「俺のシュニィと子供達は、世界一可愛いんだ!」

アトラスは鼻息を荒くして、自慢げに宣言。

あ、そ、そう…。

「りんご飴、美味しそー」

ベリクリーデは呑気に、写真の中のアイナを見つめてそう言った。

お前って奴は。注目するのはそこなのか?

浴衣姿のシュニィと子供達を見てやれよ。

「常日頃シュニィは美人だと思っていたが、今も思っているが、この浴衣姿の美しいこと!」

「お、おぉ…」

鼻息を荒くするアトラスの横で、シュニィは顔を真っ赤にして俯いていた。

「それにアイナとレグルスの可愛いこと!これを見てくれ。これを!」

「あ、あぁ…。見てる、見てるって…」

そんな目の前に写真を突きつけないでくれよ。

見てるから。

「俺はこの写真だけで、丼飯10杯は食える!」

「…そうか」

幸せな奴だな、お前は。